裁判所事務官は国家公務員?特別職の身分と地方公務員との違い

裁判所事務官が国家公務員の特別職であることを解説する記事のアイキャッチ

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『裁判所事務官って公務員なのは分かるけど、国家公務員?それとも地方公務員?』と迷っている方も多いですよね。地元の裁判所で働くイメージがあると、なおさら分かりにくいところです。

結論から言うと、裁判所事務官は国家公務員で、その中でも「特別職」にあたります。地方公務員ではありません。

この記事を読めば、公務員としての裁判所事務官の立ち位置と、ほかの公務員との違いがすっきり分かります。

目次

裁判所事務官は国家公務員の「特別職」

先に結論

裁判所職員は、国家公務員法で国家公務員の特別職とされています。司法権の独立という考え方から、一般の公務員とは違った身分の扱いをしているためです。

裁判所事務官は、国家公務員です。ただ、多くの人がイメージする「各省庁で働く国家公務員」とは少し立場が違います。

裁判所職員は、国家公務員法第2条第3項第13号で特別職とされています。裁判所の仕事は、国の行政から独立している必要があるからなんです。

服務については、裁判所が独自に定めたもの以外は、国家公務員法を準用する形になっています(裁判所職員臨時措置法)。

『特別職って、何か特別な待遇があるの?』と思う方もいますよね。

ここでいう「特別」は、扱いのルールが一般の国家公務員と別に決められている、という意味です。給与は、試験の種類に応じて人事院の試験で採用された人と同様とされています。

特別職だと何が変わる?何が同じ?

「特別職」と聞くと、働き方がまるで違うように感じるかもしれません。公式に書かれている内容で、変わる点と同じ点を並べてみました。

項目裁判所事務官の扱い
身分国家公務員の特別職
採用試験人事院とは別に、裁判所が独自に行う
服務裁判所が独自に定めたもの以外は、国家公務員法を準用
給与試験の種類に応じて、人事院の試験で採用された人と同様

こうして見ると、日々の給与の考え方はほかの国家公務員と近いことが分かります。違うのは、採用の入口と、身分を扱うルールの決め方なんです。

事務官だけでなく裁判所職員はみな特別職

特別職とされているのは、裁判所事務官だけではありません。裁判所書記官や家庭裁判所調査官なども含めた「裁判所職員」が、国家公務員の特別職とされています。

事務官として一定期間働いた後、書記官養成課程の入所試験に合格して研修を受けると、裁判所書記官になる道もあります。身分は同じ裁判所職員のまま、キャリアを広げていけるんですね。

「国家公務員・特別職・裁判所独自の試験」の関係を地図で見る

ここが大事なところです

裁判所事務官を説明する時に出てくる3つの言葉は、それぞれ「身分」「身分の種類」「なるための入口」を表しています。3つを分けて考えると、混乱しにくくなります。

公務員の裁判所事務官について調べていると、似たような言葉がたくさん出てきます。ここでは、3つの言葉の関係を1つの表にしてみました。

言葉何を表しているか裁判所事務官の場合
国家公務員国に雇われているか、自治体に雇われているか国家公務員(地方公務員ではない)
特別職国家公務員の中での扱いの種類特別職(司法権の独立のため)
裁判所独自の試験どの試験を通って採用されるか人事院の試験とは別に、裁判所が行う採用試験
国家公務員・特別職・裁判所独自の試験という3つの言葉の関係を示した用語の地図の図解

3つの言葉を1文でつなげると

3つを1文にすると、「裁判所事務官は、裁判所独自の試験で採用される、国家公務員の特別職」となります。

例えば、友人にこう聞かれたとします。

「裁判所事務官って、市役所みたいな地方公務員?」
「ううん、国家公務員だよ。しかも特別職で、試験も裁判所が自分で行っているんだ」

こう答えられれば、身分の説明はばっちりです。面接で志望動機を話す時にも、この理解は役に立ちます。

働く場所は全国の裁判所

裁判所には、最高裁判所と、下級裁判所(高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)があります。

採用は、全国8つの高等裁判所の管轄区域ごとに行われます。異動はおおむね3年が目安で、採用された裁判所のある都道府県内の異動が一般的とされています。

『地元の裁判所で働けるなら、地方公務員と同じでは?』と感じるかもしれません。ただ、働く場所が地元でも、身分はあくまで国家公務員なんです。

裁判所事務官は地方公務員や国家一般職と何が違う?

先に結論

裁判所事務官は地方公務員ではなく、国家公務員です。また、国家公務員の中でも、人事院が行う国家一般職とは別の試験で採用されます。

裁判所事務官と比べられやすいのが、地方公務員と国家一般職です。ここでは、公式に書かれている内容をもとに違いを見ていきます。

比べる点裁判所事務官国家一般職(人事院の試験)地方公務員
身分国家公務員の特別職国家公務員地方公務員
採用試験を行うところ裁判所人事院各自治体
働く場所全国の裁判所国の機関都道府県や市区町村

裁判所の採用試験は、人事院の国家公務員採用試験とは別に、独立して行われています。だから、国家一般職に合格しても、裁判所事務官になれるわけではありません。

国家一般職との違いや、併願する時の考え方は国家一般職と裁判所事務官の違いで詳しく紹介しています。

裁判所事務官と国家一般職、地方公務員の身分と採用試験の違いを比べた図解
よくある勘違い

「国家公務員だから、人事院の国家一般職試験を受ければいい」と思い込んでしまうケースがあります。裁判所事務官になるには、裁判所が行う採用試験に申し込む必要があります。

ほかの公務員と併願する時に気をつけたいこと

国家公務員と地方公務員をあわせて受ける人も多いはずです。その時は、それぞれの試験に別々に申し込む必要があります。

併願する前に確かめておくこと
  • 裁判所の申込みは「事前登録」と「申込受付」の2段階になっている
  • 申込み後は、試験の種類や希望する高裁、試験地を変更できない
  • 第2次の人物試験は、希望勤務地を管轄する高裁の区域内で受ける
  • ほかの試験と日程が重なっていないかを、各試験の受験案内で確かめる

日程の重なりは毎年変わります。受ける年の受験案内を並べて、早めにカレンダーに書き込んでおきましょう。

試験の区分も裁判所独自

裁判所事務官の採用試験には、総合職試験(院卒者区分・大卒程度区分)と、一般職試験(大卒程度区分・高卒者区分)があります。

試験の全体像は裁判所事務官試験とはで、一般職の詳しい中身は裁判所事務官の一般職とはで見られます。

受験資格で気をつけたいこと

国家公務員である以上、受験資格にも決まりがあります。令和8年度の受験案内では、日本の国籍を持たない人と、国家公務員法第38条に当てはまる人は受験できないとされています。

年齢の条件も区分ごとに違います。例えば大卒程度区分は、公式のQ&Aでは年度の4月1日に21歳以上30歳未満なら学歴に関係なく受けられます。

社会人から目指す道もある

裁判所には、新卒向けの採用試験のほかに中途採用の制度もあります。

制度どんな人が対象か
社会人経験者選考採用民間企業や官公庁などで、一定期間以上正社員・正規職員として働いた経験がある人。採用時から係長級の事務官として働く
元裁判所職員の再雇用裁判所を退職した元職員

社会人経験者選考は、裁判所ごとに行われます。くわしくは裁判所の中途採用のページで確かめてみてください。

国家公務員としての給与と働き方

先に結論

裁判所事務官の給与は、試験の種類に応じて人事院の試験で採用された人と同様です。勤務時間や休日も、国家公務員としてのルールに沿って決められています。

国家公務員の裁判所事務官として働く場合の初任給は、令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で次のとおりです。

試験の種類初任給
総合職(院卒者区分)306,720円
総合職(大卒程度区分)290,400円
一般職(大卒程度区分)278,400円
一般職(高卒者区分)240,360円

このほか、期末・勤勉手当(1年間に俸給月額などの約4.65か月分)、通勤手当、住居手当などがあります。

働き方で確かめておきたいこと
  • 勤務時間は1日7時間45分
  • 休日は土日・祝日・年末年始
  • 年次休暇は年20日(4月1日採用の年は15日)
  • 夏季休暇や結婚休暇などの特別休暇がある
  • 育児休業は子が3歳に達する日まで

金額や制度は年度によって変わることがあります。最新の内容は、裁判所の採用情報で確認しておきましょう。

公務員として裁判所事務官を目指す人からのよくある相談

この章でやること

公務員として裁判所事務官を考えている人から、よく寄せられる相談を3つ選んで答えていきます。

相談1:面接の前に、裁判の傍聴はしておいたほうがいいですか?

人物試験の前に、一度でも裁判を傍聴しておくべきか迷っている、という相談です。

公式のQ&Aでは、官庁訪問のような訪問は必要ないとされています。人物試験も、専門知識を問うものではないと書かれています。

傍聴は、採用試験で求められているものではありません。ただ、法廷の様子を自分の目で見ておくと、仕事内容を自分の言葉で話す材料になります。行くかどうかは、準備の時間と相談して決めてみてください。

相談2:公務員の中でも働きやすいと聞きましたが本当ですか?

ネットで「休みが取りやすい」「ホワイト」と聞いたけれど実際はどうなのか、という相談です。

働きやすさの感じ方は、部署や人によって違います。ここでは、公式に書かれている勤務条件をお伝えしますね。

勤務時間は1日7時間45分で、年次休暇は年20日です。ほかにも、夏季休暇などの特別休暇や、子が3歳に達する日までの育児休業の制度があります。

一方で、裁判員裁判の事件は準備が多く、部の中での連携が大切だと公式サイトの職員紹介で紹介されています。制度と仕事の両面を知ったうえで判断するのがおすすめです。

相談3:最終合格した後の意向照会や、辞退のタイミングが分かりません

最終合格して、採用の意向を確かめる連絡が来るまでの流れを知りたい、という相談です。

最終合格者は、高裁の管轄区域ごとの採用候補者名簿に、点数の高い順に載ります。その後、高裁が希望勤務地や成績などを考えて裁判所に推薦し、推薦を受けた裁判所から採用の意向照会などがあります。

第一希望の勤務地が違う人の間では、欠員の状況によって名簿の順番と違う順序で意向照会が来ることもあります。意向照会のほかに、面接を行う場合もあるとされています。

採用は原則として翌年の4月1日です。ほかの進路と迷っている場合は、意向照会の連絡が来た時に、正直に状況を伝えて相談してみてください。

裁判所事務官ガイド

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よくある質問

裁判所事務官は国家公務員ですか?

はい、国家公務員です。その中でも、国家公務員法で特別職とされています。

裁判所事務官は地方公務員ですか?

いいえ、地方公務員ではありません。地元の裁判所で働く場合でも、身分は国家公務員です。

国家一般職に合格すれば裁判所事務官になれますか?

なれません。裁判所の採用試験は、人事院の国家公務員採用試験とは別に、裁判所が独自に行っています。

社会人からでも国家公務員の裁判所事務官になれますか?

なれます。年齢の条件に当てはまれば採用試験を受けられるほか、民間企業などで一定期間以上の正社員経験がある人を対象にした社会人経験者選考採用もあります。

裁判所事務官の給与は、ほかの国家公務員と違いますか?

試験の種類に応じて、人事院の試験で採用された人と同様の給与とされています。

まとめ

この記事の要点
  • 裁判所事務官は国家公務員で、その中でも特別職
  • 特別職なのは、司法権の独立という考え方があるから
  • 採用試験は人事院とは別に、裁判所が独自に行う
  • 地方公務員ではなく、国家一般職とも別の試験
  • 給与は試験の種類に応じて人事院の試験の採用者と同様

身分の違いが分かったら、次は仕事の中身もあわせて見てみてください。

裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

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