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『裁判所事務官って、裁判所で具体的に何をしている人なんだろう?』と気になっている方も多いですよね。テレビで見る法廷には裁判官しか映らないので、なおさらイメージしにくい仕事です。
結論から言うと、裁判所事務官とは、裁判所の「裁判部」と「事務局」で、裁判と裁判所の運営を内側から支える国家公務員です。
この記事を読めば、仕事の中身から身分、試験の区分と日程、なるまでの流れまで、全体像がひと通りつかめます。
裁判所事務官とは?ひと言でいうと「裁判所を内側から支える人」
裁判所事務官は、採用されると各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。裁判部では書記官のもとで裁判の事務を、事務局では総務課・人事課・会計課などで裁判所の運営に関わる事務を担当します。
裁判所事務官とは、ひと言でいうと「裁判がスムーズに進むように、書類と人と設備を整える人」です。
判決を書くのは裁判官ですが、その裁判官だけでは法廷は回りません。書類の受け渡し、法廷の準備、来庁した人への対応など、たくさんの事務があるんです。
裁判所の組織は、大きく「裁判部」と「事務局」に分かれています。事務官はこのどちらかに配置され、異動のたびに行き来することもあります。
| 配置先 | どんな場所か | 事務官の主な仕事 |
|---|---|---|
| 裁判部 | 事件を裁判官が審理・裁判する部署 | 書記官のもとで各種の裁判事務を担当 |
| 事務局 | 総務課・人事課・会計課などがある部署 | 人や設備の面で裁判部を支える司法行政事務 |
『事務って、どこの会社にもある仕事と同じでは?』と思うかもしれません。
ただ、裁判所の事務は扱うものが特殊です。事件の記録や、裁判の当事者とのやりとりなど、裁判所ならではの仕事が多いんですね。
裁判部が扱う4つの手続
裁判部が扱う主な手続は、次の4つです。どの部に配属されるかで、毎日向き合う書類や来庁者の雰囲気もずいぶん変わります。
- 民事事件:お金の貸し借りや代金の支払いなど、個人や企業の間の争いを解決する手続
- 刑事事件:犯罪の疑いをかけられた人の有罪・無罪などを決める手続
- 家事事件:離婚や相続など、家庭内の争いを解決する手続
- 少年事件:非行に及んだ少年の処遇を決める手続
家事事件と少年事件は家庭裁判所の仕事です。家裁ならではの働き方は家庭裁判所の事務官の仕事で詳しく紹介しています。
裁判所で働く人の中での立ち位置は?役割マップで見てみよう
裁判部には、裁判を支える職種として裁判所事務官・裁判所書記官・家庭裁判所調査官が置かれています。事務官は、その中で「書記官を手伝いながら事務を回す人」という位置にいます。
裁判所で働く人というと、裁判官しか思い浮かばないという方も多いはずです。実は、法廷の外にも中にも、役割の違う職種が並んで働いています。
ここでは、裁判部の4つの職種を「何をする人か」「どうやってなるか」で並べてみました。
| 職種 | 何をする人か | なり方の目安 |
|---|---|---|
| 裁判官 | 事件を審理し、裁判をする | 司法試験に合格し、司法修習を経るのが一般的 |
| 裁判所書記官 | 法廷に立ち会い、調書を作るなど法律で決められた権限を持つ | 事務官として一定期間働き、養成課程の入所試験に合格して研修を受ける |
| 家庭裁判所調査官 | 家庭裁判所の裁判を支える職種の1つ | 家庭裁判所調査官補の採用試験を受ける |
| 裁判所事務官 | 書記官のもとで裁判事務をしたり、事務局で運営の事務をしたりする | 裁判所の採用試験(総合職・一般職)に合格する |
この表で見てほしいのは、事務官がほかの職種の「入口」にもなっていることです。
書記官は、事務官として一定期間在職した人が、裁判所職員総合研修所の「裁判所書記官養成課程」の入所試験に合格し、研修を受けてなる職種です。

事務官と書記官のいちばん大きな違い
書記官は、法律で定められた固有の権限を持っています。法廷への立会いや調書の作成などがそうで、書記官が立ち会わないと法廷は開けません。
一方の事務官は、その書記官を手伝う立場です。公式サイトの職員紹介では、刑事部の事務官の仕事として「訴訟関係書類の授受や法廷の準備、来庁者の対応など」が紹介されています。
『書記官のほうが上なの?』と気になる方もいますよね。
上か下かというより、事務官として経験を積んだ先に書記官という道がある、と考えるとイメージしやすいです。詳しくは裁判所事務官と書記官・裁判官の違いをどうぞ。
令和8年度の受験案内では、裁判所事務官の採用試験(総合職・一般職の大卒程度区分)は「家庭裁判所調査官補」と併願できないと書かれています。どちらを受けるか迷っている方は、早めに決めておきましょう。
裁判所事務官の仕事内容は「裁判部」と「事務局」で違う
裁判部の事務官は事件の書類と法廷まわりの仕事、事務局の事務官は広報・研修・設備管理といった裁判所の運営の仕事が中心です。
裁判所事務官の仕事内容は、配置先によってかなり違います。ここでは、それぞれの場面を具体的に思い浮かべてみましょう。
裁判部の事務官がすること
裁判部の事務官は、書記官のもとで裁判の事務を担当します。
例えばこんな場面です。裁判の当事者から書類が届いたら受け取って記録に綴じ、次の期日に向けて法廷の準備を進めます。
窓口や電話で「この書類はどこに出せばいいですか」と聞かれれば、手続の案内をすることもあります。
例えば、こんなやりとりを想像してみてください。
「次の期日までに、この書類を出せば間に合いますか?」
「提出先はこちらの部です。期日の扱いは担当の書記官に確認してお伝えしますね」
自分で判断できないことは書記官につなぐ。この「つなぎ役」の感覚が、裁判部の事務官にはとても大切なんです。

公式サイトの職員紹介では、裁判員裁判の事件は準備が多く、部の中での連携が大切だとも紹介されています。
事務局の事務官がすること
事務局には総務課・人事課・会計課などがあります。裁判部が裁判に集中できるように、人や設備の面から支える部署です。
| 課 | 仕事の一例 | どんな形で裁判を支えるか |
|---|---|---|
| 総務課 | 広報 | 広報行事などを企画して、裁判所の制度を伝える |
| 人事課 | 研修 | 職員の研修を企画して、育成を支える |
| 会計課 | 設備管理 | 裁判所の物的な設備を整える |
『法律の仕事がしたいのに、事務局に配属されたらどうしよう』と不安になる方もいるかもしれません。
ただ、事務局の仕事も裁判を支える大事な仕事です。広報で裁判所の制度を伝えたり、設備を整えたりすることが、結果的に裁判の進行を助けています。
- 書類を正確に扱う作業が苦にならない
- 窓口や電話で、相手に分かりやすく説明するのが好き
- チームで連携しながら準備を進めるのが得意
- 法律や裁判のしくみに興味がある
- 同じ都道府県の中での異動を前向きに受け止められる
向いている人・つまずきやすい人
チェックが多くついた方は、裁判所事務官の仕事と相性がよさそうです。反対に、どんな点でつまずきやすいかも見ておきましょう。
- 決まった手順を正確に守るのが得意
- 相手の立場に立って言葉を選べる
- 周りと声をかけ合って準備を進められる
- 細かい確認を「面倒」と感じてしまう
- 自分だけで判断して先に進めたくなる
- 配属先や異動の希望にこだわりすぎる
つまずきやすい側に当てはまっても、心配しすぎなくて大丈夫です。どれも、働きながら身につけていける習慣なんです。
面接では「なぜ裁判所なのか」を聞かれやすいので、自分がどちらの部署の仕事にひかれるのかを言葉にしておくと役立ちます。
仕事内容をもっと細かく知りたい方は、裁判所事務官の仕事内容で、事件の流れに沿って事務官が動く場面を紹介しています。
裁判所事務官は国家公務員?身分と働く場所
裁判所事務官は、国家公務員の中の「特別職」です。地方公務員ではありません。採用試験も、人事院の国家公務員試験とは別に、裁判所が独自に行っています。
裁判所職員は、国家公務員法で「特別職」とされています。司法権の独立という考え方から、一般の公務員とは違った身分の扱いをしているためです。
服務については、裁判所が独自に定めたもの以外は、国家公務員法を準用する形になっています。
採用されると、試験の種類に応じて、人事院の試験で採用された人と同じような給与になります。身分の話は裁判所事務官は国家公務員?で詳しく紹介しています。
働く裁判所の種類
裁判所は、最高裁判所と、下級裁判所に分かれます。下級裁判所は、高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の4種類です。
高等裁判所は札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の8つです。採用は、この高等裁判所の管轄区域ごとに行われます。
例えば大阪高裁の管轄は、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県です。採用された後の異動は、おおむね3年が目安で、採用された裁判所のある都道府県内の異動が一般的とされています。
給与と勤務時間の目安
初任給は、令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で次のとおりです。
| 試験の種類 | 初任給 |
|---|---|
| 総合職(院卒者区分) | 306,720円 |
| 総合職(大卒程度区分) | 290,400円 |
| 一般職(大卒程度区分) | 278,400円 |
| 一般職(高卒者区分) | 240,360円 |
このほか、期末・勤勉手当(1年間に俸給月額などの約4.65か月分)、通勤手当、住居手当などがあります。
勤務時間は1日7時間45分です。休日は土日・祝日・年末年始で、年次休暇は年20日(4月1日採用の年は15日)とされています。
金額や休暇の日数は、令和8年度の受験案内に書かれた内容です。年度によって変わることがあるので、最新の情報は裁判所の採用情報で確認しておきましょう。
裁判所事務官になるには?試験の区分と流れ
裁判所事務官になるには、裁判所が行う採用試験(総合職か一般職)に最終合格し、採用候補者名簿から採用されるのが基本の流れです。採用は原則として翌年の4月1日です。
『自分はどの試験を受ければいいの?』というのが、最初に迷うところですよね。令和8年度の試験区分は次の4つです。
| 試験 | 区分 | どんな能力を重視するか |
|---|---|---|
| 総合職試験 | 院卒者区分・大卒程度区分 | 政策の企画立案に関わる高い能力 |
| 一般職試験 | 大卒程度区分・高卒者区分 | 的確な事務処理に関わる能力 |
大卒程度区分は、令和8年度の受験案内では平成8年4月2日から平成17年4月1日生まれの人なら、学歴に関係なく受けられます。
法学部でなくても大丈夫です。公式のQ&Aでも、細かな専門知識より基本的な知識や理解を重視すると書かれています。
試験の種類にかかわらず、能力と勤務成績次第で昇進の道が大きく開かれている、とも紹介されています。区分ごとの違いは一般職と総合職の記事で比べています。
一般職(大卒程度区分)の1年の流れ
令和8年度の受験案内では、一般職(大卒程度区分)の日程は次のとおりでした。
- 申込受付:3月13日から4月6日まで(インターネットのみ)
- 第1次試験:5月9日(基礎能力試験・専門試験。論文試験もこの日)
- 第1次試験の合格発表:5月28日
- 第2次試験(人物試験):6月8日から7月3日の間
- 最終合格発表:7月9日
- 採用:原則として翌年の4月1日
日程は毎年変わるので、受ける年の受験案内で確認してみてください。申込みの細かい手順は試験日と出願の記事にまとめています。

倍率はどのくらい?
ここでいう倍率は、第1次試験の有効受験者数を最終合格者数で割った数です。一般職(大卒程度区分)の全国合計は次のとおりでした。
| 年度 | 申込者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 10,945人 | 1,979人 | 4.2倍 |
| 令和7年度 | 10,739人 | 2,135人 | 4.2倍 |
| 令和8年度 | 9,911人 | 1,821人 | 4.5倍 |
ただ、倍率は管轄区域によって違います。令和8年度は、東京高裁の管轄区域が3.4倍、大阪高裁の管轄区域が8.3倍でした。
試験全体の見取り図は裁判所事務官試験とはで、ステップごとのなり方は裁判所事務官になるにはで詳しく紹介しています。
申込みは「事前登録」と「申込受付」の2段階です。事前登録だけで安心してしまい、申込みが完了していなかったというケースがあるので気をつけましょう。
裁判所事務官を目指す人からのよくある相談
裁判所事務官を目指す人からよく寄せられる相談を3つ選んで、公式の情報をもとに答えていきます。
相談1:社会人で20代後半。今からでも目指せますか?
今は会社員として働いていて、20代後半から裁判所事務官を目指したいという相談です。
結論から言うと、年齢の条件に当てはまれば十分目指せます。公式のQ&Aでは、試験を行う年度の4月1日に21歳以上30歳未満であれば、学歴に関係なく大卒程度区分を受けられると書かれています。
『30歳を過ぎたらもう無理なの?』という方もいますよね。
裁判所には、民間企業などで一定期間以上正社員として働いた人を選考で採用する「社会人経験者選考採用」もあります。採用時から係長級の事務官として働く制度で、選考は裁判所ごとに行われます。
相談2:受ける管轄はどこを選べばいいですか?
倍率の高い管轄を避けて、受かりやすそうな管轄を選ぶべきか迷っている、という相談です。
確かに、令和8年度の倍率は東京高裁の管轄区域が3.4倍、大阪高裁の管轄区域が8.3倍と差がありました。
ただ、採用後の異動は、採用された裁判所のある都道府県内が一般的です。倍率だけで選ぶと、住みたい場所と働く場所がずれてしまうことも。
まずは「どこで長く暮らしたいか」で選び、そのうえで倍率を確かめる順番がおすすめです。なお、第2次の人物試験は希望勤務地を管轄する高裁の管轄区域内で受けます。
相談3:受験票は紙に印刷しないといけませんか?
試験の前日になって、受験票を紙で持っていくべきか不安になったという相談です。
令和8年度の受験案内では、受験票はスマートフォンに保存して提示する形になっています。
当日あわてないように、前日のうちにスマートフォンへ保存できているか確かめておきましょう。充電の残りにも気をつけておくと安心です。
独学でいくか、講座を使うか
ここまで読んで、『自分は独学で間に合うのかな』と考えた方もいるはずです。
独学でも合格を目指せますが、次のような場面では公務員講座が役立ちます。
| こんな時 | 講座が役立つ理由 |
|---|---|
| 憲法・民法をゼロから学ぶ | 初学者向けの講義で、法律の考え方からつかみやすい |
| 論文(小論文)が書けない | 書いた答案を添削してもらえる |
| 人物試験(面接)が不安 | 面接練習で、話し方や答え方を客観的に見てもらえる |
| 仕事や授業と両立したい | 学習スケジュールを組みやすい |
人物試験は、一般職(大卒程度区分)では配点比率が20分の8と大きい試験です。一人で練習しにくい部分だけ講座に頼る、という使い方もあります。
裁判所事務官ガイド
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よくある質問
裁判所事務官とはどんな職業ですか?
裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置され、裁判の事務や裁判所の運営の事務を担当する国家公務員です。裁判部では書記官のもとで働き、事務局では総務課・人事課・会計課などで働きます。
裁判所事務官は地方公務員ですか?
いいえ、国家公務員の特別職です。採用試験も人事院の国家公務員試験とは別に、裁判所が独自に行っています。
法学部でなくても裁判所事務官になれますか?
なれます。公式のQ&Aでは、法学部のほか経済・文・教育・理学部など、さまざまな学部の出身者が活躍していると紹介されています。
裁判所事務官から書記官になれますか?
なれます。事務官として一定期間働いた後、裁判所書記官養成課程の入所試験に合格し、研修を受けると書記官になれます。
採用されるのはいつですか?
原則として最終合格した翌年の4月1日です。希望勤務地や欠員の状況によっては、名簿の有効期間内に採用されない場合もあります。
まとめ
- 裁判所事務官とは、裁判部と事務局で裁判と裁判所の運営を支える人
- 裁判部では書記官のもとで裁判事務、事務局では広報・研修・設備管理など
- 身分は国家公務員の特別職で、試験は裁判所が独自に行う
- 試験は総合職と一般職があり、大卒程度区分は年齢条件を満たせば学歴不問
- 事務官として経験を積んだ先に、書記官になる道もある
『裁判所事務官って何をする人?』という疑問は、少し晴れたでしょうか。
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