家庭裁判所の事務官の仕事|家裁ならではの業務と向いている人

家庭裁判所の事務官の仕事を解説する記事のアイキャッチ

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『家庭裁判所の事務官って、地方裁判所の事務官と仕事が違うの?』と気になっている方も多いですよね。家裁という名前は知っていても、中でどんな人が働いているかはイメージしにくいものです。

結論から言うと、家庭裁判所の事務官も、裁判部か事務局で裁判を支える点は同じです。ただ、家裁は家事事件と少年事件という家庭に関わる手続を扱うので、窓口や書類の場面で求められる心配りが変わります。

この記事を読めば、家裁ならではの事務官の仕事と、自分に向いているかどうかの目安が分かります。

目次

家庭裁判所の事務官は何をしている?

先に結論

家庭裁判所の事務官も、採用されると裁判部か事務局に配置されます。裁判部では書記官のもとで裁判事務を、事務局では総務課・人事課・会計課などで司法行政事務を担当する点は、ほかの裁判所と同じです。

裁判所事務官は、採用されると各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。家庭裁判所事務官として働く場合も、この基本は変わりません。

裁判所には、最高裁判所と、下級裁判所(高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)があります。家庭裁判所は、下級裁判所の1つです。

配置先家庭裁判所での仕事の例
裁判部書記官のもとで、家事事件や少年事件の書類の授受、期日の準備、来庁者の対応など
事務局総務課での広報、人事課での研修、会計課での設備管理など

『家裁に配属されたら、ずっと家裁なの?』と気になる方もいますよね。

異動はおおむね3年が目安で、採用された裁判所のある都道府県内の異動が一般的とされています。地方裁判所や家庭裁判所など、いろいろな裁判所を経験していくことになります。

家裁が扱う2つの手続

家庭裁判所が扱う手続の中心は、家事事件と少年事件です。

  • 家事事件:離婚や相続など、家庭内の争いを解決するための手続
  • 少年事件:非行に及んだ少年に対する処遇を決めるための手続

どちらも、人の暮らしや家族のこれからに深く関わる手続です。だからこそ、事務官にも丁寧な対応が求められるんです。

家裁の事務局で働く場合

家庭裁判所の事務局に配置されることもあります。事務局では、総務課・人事課・会計課などで、人や設備の面から裁判部を支えます。

例えば総務課の広報なら、裁判所の制度を国民に正しく伝える行事を企画します。家庭裁判所の手続は、初めて利用する人も多いので、分かりやすく伝える工夫がいかされる場面です。

地裁と家裁の違いを、事務官の目線で比べてみよう

ここが大事なところです

地方裁判所と家庭裁判所では扱う手続が違うので、事務官が向き合う窓口・書類・調整の場面も変わります。ここでは、3つの場面に分けて違いを見ていきます。

裁判部が扱う主な手続は、民事事件・刑事事件・家事事件・少年事件の4つです。このうち家事事件と少年事件が、家庭裁判所の担当になります。

ここでは、事務官が毎日向き合う3つの場面で、地裁と家裁を並べてみました。

場面地方裁判所(民事・刑事)家庭裁判所(家事・少年)
窓口お金の貸し借りや企業間の争い、刑事事件の関係者など離婚や相続など、家族の問題を抱えた人など
書類訴訟関係書類の授受が中心家庭の事情に関わる書類が多い
調整法廷の準備、部の中での連携家族の事情に配慮した案内、部の中での連携
地方裁判所と家庭裁判所の違いを窓口・書類・調整の3つの場面で比べた図解

窓口:家族の悩みを抱えた人が来る

家庭裁判所の窓口に来る人は、離婚や相続など、家族のことで悩みを抱えていることが多いはずです。

例えば、窓口ではこんなやりとりがあるかもしれません。

「初めて来たので、どこに行けばいいか分からなくて…」
「大丈夫ですよ。担当の部の窓口までご案内しますね」

事務官は、法律の判断をする立場ではありません。ただ、最初に言葉を交わす相手として、相手が落ち着いて手続に進めるような声かけが大切なんです。

書類:家庭の事情に関わる内容を扱う

家事事件や少年事件では、家族のことや少年の今後に関わる書類を扱います。

どんな事件でも書類を正確に扱うことは大切です。家裁ではそれに加えて、内容への配慮がいっそう求められる場面が多くなります。

『書類を扱うだけなら、どこの裁判所でも同じでは?』と思うかもしれません。ただ、家族の事情が書かれた書類は、その人にとってとても大切なものです。受け取る時の一言や、扱う時の慎重さが、来庁した人の安心につながるんです。

調整:部の中での連携

公式サイトの職員紹介(刑事部の事務官)では、裁判員裁判の事件は準備が多く、部の中での連携が大切だと紹介されています。手続は違っても、家裁でも書記官や家庭裁判所調査官など、ほかの職種と声をかけ合いながら仕事を進めます。

地方裁判所で働く事務官については、地方裁判所の事務官の記事で紹介しています。

家庭裁判所調査官とはどう違う?

先に結論

裁判部には、裁判を支える職種として事務官・書記官・家庭裁判所調査官が置かれています。家庭裁判所調査官になるには家庭裁判所調査官補の採用試験を受け、裁判所事務官とは試験が別です。

家庭裁判所で働く職種として、よく名前があがるのが家庭裁判所調査官です。事務官と同じく、裁判を支える職種の1つとして裁判部に置かれています。

比べる点裁判所事務官家庭裁判所調査官
置かれている場所裁判部か事務局裁判部
入口の試験裁判所事務官の採用試験(総合職・一般職)家庭裁判所調査官補の採用試験

令和8年度の受験案内では、裁判所事務官の採用試験(総合職・一般職の大卒程度区分)は、家庭裁判所調査官補と併願できないとされています。

『どちらも受けてから決めたい』と考えていた方は、申込みの前にどちらにするかを決めておく必要があります。

申込み後は変更できません

裁判所事務官の試験は、申込み後に試験の種類・特例希望の有無・希望する高裁・試験地を変更できません。調査官補と迷っている方は、申込みの前によく考えておきましょう。

書記官との関係も知っておこう

家庭裁判所でも、法廷への立会いや調書の作成などは書記官の権限です。事務官は、その書記官のもとで裁判事務を担当します。

事務官として一定期間働いた後、書記官養成課程の入所試験に合格して研修を受けると、書記官になる道もあります。詳しくは裁判所事務官と書記官・裁判官の違いをどうぞ。

家庭裁判所の事務官に向いている人

先に結論

家庭裁判所の事務官には、正確な事務処理に加えて、悩みを抱えた人に落ち着いて接する心配りが求められます。チェックが多くつく人は、家裁の仕事と相性がよさそうです。

家裁の事務官に向いているかどうかは、次のチェックで考えてみてください。

家庭裁判所の事務官に向いているかのチェック
  • 困っている人の話を、急かさずに聞ける
  • 自分の意見を押しつけず、手続の場所や順番を伝えられる
  • 家庭の事情に関わる書類も、落ち着いて正確に扱える
  • 書記官や調査官など、ほかの職種と声をかけ合える
  • 異動でいろいろな裁判所を経験することを前向きに受け止められる

チェックが少なかった方も、心配しすぎなくて大丈夫です。こうした姿勢は、働く中で少しずつ身についていくものなんです。

家庭裁判所の事務官に向いている人の特徴をまとめたチェックリストの図解

面接で家裁への思いを伝える時のコツ

人物試験は、専門知識を問うものではないと公式のQ&Aに書かれています。家裁の仕事に興味があるなら、その理由を自分の言葉で話せるようにしておきましょう。

ただ、配置先は採用後に決まるので、家裁だけを希望しているように聞こえないことも大切です。「家裁の仕事にひかれているが、どの裁判所でも裁判を支える仕事がしたい」という伝え方がおすすめです。

家裁で働くまでの流れ

家庭裁判所で働きたい場合も、入口は裁判所事務官の採用試験です。家裁だけの採用試験があるわけではありません。

家庭裁判所の事務官として働くまで
  1. 裁判所事務官の採用試験(総合職か一般職)に申し込む
  2. 最終合格し、高裁の管轄区域ごとの採用候補者名簿に載る
  3. 高裁が希望勤務地や成績などを考えて、裁判所に推薦する
  4. 推薦を受けた裁判所から採用の意向照会などがある
  5. 原則として翌年4月1日に採用され、裁判部か事務局に配置される

採用は高等裁判所の管轄区域ごとに行われます。働きたい地域を管轄する高裁を、希望勤務地として選んでおきましょう。

給与と働き方の目安

家庭裁判所で働く場合も、給与や勤務条件はほかの裁判所の事務官と同じ考え方です。初任給は、令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で次のとおりです。

試験の種類初任給
一般職(大卒程度区分)278,400円
一般職(高卒者区分)240,360円
総合職(大卒程度区分)290,400円

勤務時間は1日7時間45分で、休日は土日・祝日・年末年始です。育児休業は子が3歳に達する日まで取れる制度があります。

家庭裁判所の事務官についてよくある相談

この章でやること

家庭裁判所で働くことを考えている人から寄せられる相談を3つ選んで、公式の情報をもとに答えていきます。

相談1:裁判所事務官と家庭裁判所調査官の違いは何ですか?

裁判所事務官と家庭裁判所調査官は、何が違うのかを知りたいという相談です。

どちらも、裁判部で裁判を支える職種として置かれています。違いの1つは入口の試験で、事務官は裁判所事務官の採用試験、調査官は家庭裁判所調査官補の採用試験を受けます。

事務官は裁判部だけでなく事務局にも配置され、いろいろな裁判所で働きます。仕事の中身は裁判所事務官の仕事内容で詳しく紹介しています。

相談2:裁判所事務官の総合職と、家庭裁判所調査官を併願できますか?

両方の試験を受けて、合格した方を選びたいという相談です。

結論から言うと、令和8年度の受験案内では併願できないとされています。裁判所事務官の採用試験の受験案内に、「家庭裁判所調査官補と併願することはできない」と書かれています。

どちらを受けるかは、申込みの前に決める必要があります。仕事内容や入口の試験の違いを調べたうえで、選んでみてください。

相談3:結婚や家庭の事情で、所属する高裁の管轄から移ることはできますか?

採用後に結婚や家族の事情があった時、ほかの高裁の管轄に移れるのか知りたいという相談です。

公式のQ&Aでは、異動はおおむね3年が目安で、採用された裁判所のある都道府県内の異動が一般的とされています。高裁の管轄を移ることについては、公式のQ&Aには詳しく書かれていません。

まずは、長く暮らしたい地域を管轄する高裁を希望勤務地にしておくのが安心です。採用後に事情が変わった時は、職場で相談してみてください。

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よくある質問

家庭裁判所の事務官は、ほかの裁判所の事務官と別の試験ですか?

同じ裁判所事務官の採用試験です。採用された後、家庭裁判所に配置されることがあります。

家庭裁判所が扱う事件は何ですか?

主に家事事件(離婚や相続など家庭内の争いを解決する手続)と、少年事件(非行に及んだ少年の処遇を決める手続)です。

家庭裁判所の事務官から書記官になれますか?

なれます。事務官として一定期間働いた後、裁判所書記官養成課程の入所試験に合格し、研修を受けると書記官になれます。

家庭裁判所だけを希望して受験できますか?

裁判所事務官の採用は高等裁判所の管轄区域ごとに行われ、配置先は採用後に決まります。家裁の仕事に興味がある場合も、まずは働きたい地域の高裁を希望勤務地にして採用試験を受けます。

家庭裁判所調査官と裁判所事務官は併願できますか?

令和8年度の受験案内では、裁判所事務官の採用試験は家庭裁判所調査官補と併願できないとされています。

まとめ

この記事の要点
  • 家庭裁判所の事務官も、裁判部か事務局で裁判を支える
  • 家裁は家事事件と少年事件という家庭に関わる手続を扱う
  • 地裁と比べると、窓口・書類・調整の場面で心配りがいっそう大切になる
  • 家庭裁判所調査官は入口の試験が別で、事務官の試験とは併願できない
  • 異動はおおむね3年が目安で、いろいろな裁判所を経験する

家裁の仕事にひかれた方は、裁判所事務官全体の仕事や試験もあわせて見てみてください。

裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

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