裁判所事務官の仕事内容|裁判部と事務局の業務を詳しく解説

裁判所事務官の仕事内容を解説する記事のアイキャッチ

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『裁判所事務官の仕事内容って、パンフレットを読んでもいまいちピンとこない』という方も多いですよね。「裁判事務」「司法行政事務」と言われても、毎日何をしているのかは想像しにくいものです。

結論から言うと、裁判所事務官の仕事内容は、配置先が「裁判部」か「事務局」かで大きく変わります。

この記事を読めば、1件の事件が裁判所に届いてから終わるまでの流れの中で、事務官がどこで動いているのかがイメージできるようになります。

目次

裁判所事務官の仕事は「裁判部」と「事務局」の2つに分かれる

先に結論

裁判所事務官は、採用されると各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。裁判部では書記官のもとで裁判事務を、事務局では総務課・人事課・会計課などで司法行政事務全般を担当します。

まずは、裁判所事務官の仕事の全体像から見ていきましょう。

裁判所の組織は、大きく「裁判部」と「事務局」に分かれています。事務官はこの2つのどちらかに配置され、異動によって行き来することもあります。

裁判部事務局
どんな部署か裁判官が事件を審理・裁判する部署人や設備の面で裁判部を支える部署
事務官の立場書記官のもとで働く総務課・人事課・会計課などで働く
主な業務内容書類の授受、法廷の準備、来庁者の対応など広報、研修、設備管理など
向き合う相手裁判の当事者や来庁者、書記官・裁判官裁判所の職員や関係部署

『どちらに配属されるかは自分で選べるの?』と気になる方もいるはずです。

配置先は採用後に決まり、異動はおおむね3年が目安とされています。どちらの仕事も経験する可能性がある、と考えておくのがおすすめです。

「裁判事務」と「司法行政事務」の違い

裁判事務は、目の前の事件を進めるための事務です。司法行政事務は、裁判所という組織を動かすための事務と言いかえるとイメージしやすいです。

例えば、法廷で使う書類をそろえるのは裁判事務です。一方で、職員の研修を企画したり、建物の設備を整えたりするのは司法行政事務になります。

どちらも、最後は「裁判が適正に、スムーズに進むこと」につながっているんですね。

1件の事件の流れで見る、事務官が動く場面

ここが大事なところです

事件は、書類が届いてから終わるまでにいくつもの段階を通ります。事務官はその中で「書類を受け渡す」「法廷を準備する」「人を案内する」場面で動き、法律で決められた手続は書記官や裁判官が担います。

ここでは、裁判所事務官の仕事内容を詳しく知るために、1件の事件が流れていく順番に沿って見ていきます。

なお、手続の細かい中身は事件の種類によって違います。ここでは、事務官の役割をつかむための大まかな流れとして読んでみてください。

事件が届いてから終わるまでと、事務官の出番
  1. 書類が届く:当事者から届いた書類を受け取り、担当の部へ回す
  2. 記録として扱う:届いた書類を事件の記録として扱い、書記官に引き継ぐ
  3. 期日の準備をする:次の期日に向けて、法廷の準備を進める
  4. 期日の当日:来庁者を案内し、法廷まわりの準備を整える
  5. 期日の後:新しく届く書類を受け渡し、次の期日に備える
  6. 手続の終わり:証明や執行文の付与などは、書記官の権限で行われる
1件の事件の流れの中で裁判所事務官が動く場面を時系列で示した図解

書類が届いた時の事務官

裁判所には、毎日たくさんの書類が届きます。公式サイトの職員紹介では、刑事部の事務官の仕事として「訴訟関係書類の授受」が紹介されています。

書類を受け取る時は、どの事件の書類か、誰から届いたかを取り違えないことが大切です。

小さな確認の積み重ねが、裁判全体の正確さを支えているんですね。

期日の前と当日の事務官

期日が近づくと、法廷の準備が始まります。職員紹介では、事務官の仕事として「法廷の準備」や「来庁者の対応」も挙げられています。

例えば、当日の窓口ではこんなやりとりがあるかもしれません。

「今日の○時からの裁判は、どの法廷ですか?」
「こちらの案内に沿って、○階の法廷へお進みください」

来庁する人の多くは、裁判所に慣れていません。だからこそ、落ち着いて分かりやすく案内することが求められます。

書記官との役割の分かれ目

法廷に立ち会って調書を作るのは、書記官の仕事です。書記官が立ち会わないと、法廷は開けません。

ほかにも、訴訟上の事項に関する証明や、執行文の付与、支払督促の発付なども書記官の権限です。

事務官は、その書記官の仕事を補助する立場です。役割の違いは裁判所事務官と書記官・裁判官の違いで詳しく紹介しています。

裁判員裁判の事件の場合

公式サイトの職員紹介では、裁判員裁判の事件は準備が多く、部の中での連携が重要だと紹介されています。事務官一人で抱えるのではなく、チームで準備を進める場面が多い仕事です。

裁判部の業務内容は事件の種類でこう変わる

先に結論

裁判部が扱う主な手続は、民事事件・刑事事件・家事事件・少年事件の4つです。どの部に配属されるかで、扱う書類や来庁する人が変わります。

『裁判部といっても、どの部も同じような仕事なのでは?』と思うかもしれません。

実は、扱う手続によって雰囲気はずいぶん違います。事件の種類ごとに、事務官が向き合う場面を見てみましょう。

手続どんな手続か事務官が向き合う場面の例
民事事件お金の貸し借りや企業間の代金など、争いを解決する当事者からの書類の受け渡し、期日の準備
刑事事件犯罪の疑いをかけられた人の有罪・無罪などを決める訴訟関係書類の授受、法廷の準備
家事事件離婚や相続など、家庭内の争いを解決する家庭の事情を抱えた来庁者の案内
少年事件非行に及んだ少年の処遇を決める関係書類の扱い、手続の準備

家事事件と少年事件は、家庭裁判所が扱う手続です。家裁で働く事務官の仕事は、家庭裁判所の事務官の仕事で詳しく見られます。

来庁する人の気持ちを想像する

裁判所に来る人の多くは、何かしらの悩みや争いを抱えています。家庭の問題で来る人もいれば、初めて裁判所に足を運ぶ人もいます。

事務官は、法律の判断をする立場ではありません。ただ、最初に言葉を交わす窓口として、相手を不安にさせない対応が大切なんです。

裁判部の事務官に大切な姿勢
  • 書類の宛先や事件を取り違えないよう確認する
  • 自分で判断できないことは書記官につなぐ
  • 来庁者には、手続の場所や順番を分かりやすく伝える
  • 部の中で準備の進み具合を共有する

事務官の先にある書記官という道

裁判部で書記官の仕事を間近で見ていると、『いつか自分も書記官に』と考える人もいるはずです。

裁判所事務官として一定期間在職すると、裁判所職員総合研修所の「裁判所書記官養成課程」の入所試験を受けられます。合格して所定の研修を受けると、書記官になる道が開けます。

事務官から書記官になるまで
  1. 裁判所事務官として採用される
  2. 事務官として一定期間働く
  3. 裁判所書記官養成課程の入所試験に合格する
  4. 研修所で所定の期間の研修を受ける
  5. 裁判所書記官として働く

総合職で採用された人は、採用初年度に限り、入所試験の筆記試験が原則として免除(院卒者区分は全部、大卒程度区分は一部)されます。

事務局の業務は裁判を「人と設備」で支える仕事

先に結論

事務局には総務課・人事課・会計課などがあり、事務官は人や設備の面から裁判部を支えます。仕事の一例として、広報(総務課)・研修(人事課)・設備管理(会計課)が紹介されています。

事務局の事務官は、裁判に直接関わる場面は少なくなります。そのかわり、裁判所という組織全体を動かす仕事を担当します。

『事務局って、普通の会社の総務と同じ?』と感じる方もいますよね。

近い部分もありますが、目的は「裁判を適正・迅速に進めること」です。どの仕事も、最終的には裁判部を支えることにつながっています。

課仕事の一例どう裁判を支えるか
総務課広報広報行事などを企画・実施し、裁判所の制度を国民に正しく伝える
人事課研修職員の育成のための研修を企画・実施し、職員の成長を支える
会計課設備管理裁判所の物的な設備を整え、裁判部をサポートする
裁判部と事務局で裁判所事務官が担当する仕事を比べた図解

事務局の仕事で求められること

事務局の仕事は、裁判所で働く人たちが相手になることが多いです。例えば研修の企画なら、どんな研修があれば職員が働きやすくなるかを考えます。

広報なら、裁判所に親しみのない人にも制度が伝わる工夫が必要です。設備管理なら、法廷や執務室が使いやすい状態かを見ていきます。

例えば、研修の準備ではこんな会話があるかもしれません。

「来月の研修、会場と資料の準備はどこまで進んでいますか?」
「会場は押さえました。資料は今週中にそろえて、確認をお願いしますね」

裁判部と違って、相手は主に裁判所の中の人です。部署をまたいで段取りを組む力が、事務局ではとても役に立ちます。

よくある思い込み

「裁判所事務官の仕事は法律の知識だけで回る」と思い込むと、事務局に配属された時に戸惑いやすいです。調整や企画、数字の管理など、一般的な事務の力も大切になります。

異動で仕事内容が変わるパターン

異動はおおむね3年が目安です。つまり、長く働くうちに裁判部と事務局の両方を経験することも珍しくありません。

異動のパターン仕事内容の変わり方生きる経験
裁判部から事務局へ事件の書類から、組織の運営の仕事へ裁判の現場を知っているので、支える側の工夫がしやすい
事務局から裁判部へ組織の仕事から、事件の書類と法廷まわりの仕事へ研修や設備の知識が、法廷の準備に役立つ
民事の部から刑事の部へ扱う手続と来庁者が変わる書類を正確に扱う基本はそのまま使える

『せっかく慣れたのに、また一から覚えるの?』と不安に思う方もいるかもしれません。

ただ、書類を正確に扱う力や、相手に分かりやすく説明する力は、どの部署でも共通して使えます。異動は、裁判所の仕事を広く知るチャンスでもあるんです。

総合職と一般職、高卒区分で仕事内容は違う?

先に結論

公式には、総合職は「政策の企画立案に係る高い能力」、一般職は「的確な事務処理に係る能力」を重視すると書かれています。ただ、試験の種類にかかわらず、能力と勤務成績次第で昇進の道は大きく開かれています。

同じ裁判所事務官でも、採用試験の区分によって期待される役割に違いがあります。

区分重視される能力勤務地の傾向
総合職政策の企画立案に係る高い能力所属高裁の所在地での勤務が中心。多くの人が最高裁判所での勤務も経験
一般職(大卒程度・高卒者)的確な事務処理に係る能力希望勤務地を管轄する高裁の区域内。本人の希望状況などで最高裁で勤務することも

どちらの区分も、希望する勤務地を管轄する高裁の管轄区域内の裁判所で働きます。

一般職でも、希望状況などに応じて最高裁判所で働くことがあります。最高裁で働く事務官については、最高裁判所の事務官の記事で紹介しています。

勤務地と異動のイメージ

採用は、全国8つの高等裁判所の管轄区域ごとに行われます。異動はおおむね3年が目安で、採用された裁判所のある都道府県内の異動が一般的です。

地域ごとの採用の考え方は、地方裁判所の事務官の記事でも見られます。

給与と勤務条件の目安

仕事内容と一緒に気になるのが、給与や働き方ですよね。令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で、初任給は次のとおりです。

試験の種類初任給
総合職(院卒者区分)306,720円
総合職(大卒程度区分)290,400円
一般職(大卒程度区分)278,400円
一般職(高卒者区分)240,360円

このほか、期末・勤勉手当(1年間に俸給月額などの約4.65か月分)、通勤手当、住居手当、超過勤務手当などがあります。

勤務時間は1日7時間45分で、休日は土日・祝日・年末年始です。夏季休暇や結婚休暇などの特別休暇、子が3歳に達する日までの育児休業の制度もあります。

金額や制度は年度によって変わることがあるので、最新の情報は裁判所の採用情報で確認しておきましょう。

仕事内容から考える、向いている人

ここまでの仕事内容をふまえると、裁判所事務官に向いているのはこんな人です。

力を発揮しやすい人
  • 決まった手順を一つずつ確実に守れる
  • 困っている人に、落ち着いて道筋を示せる
  • 周りに声をかけて準備を進められる
慣れるまで苦労しやすい人
  • 細かな確認を後回しにしがち
  • 一人で判断して先に進めたくなる
  • 同じ作業のくり返しに飽きやすい

右側に当てはまっても、心配しすぎなくて大丈夫です。どれも働きながら身につけていける習慣で、部の中で先輩の動きを見て覚えていく人も多いはずです。

裁判所事務官の仕事についてよくある相談

この章でやること

裁判所事務官の仕事について、よく寄せられる相談を3つ選んで答えていきます。

相談1:総合職と一般職で、仕事内容はどう違いますか?

説明会で話を聞いたけれど、総合職と一般職の仕事内容の違いがよく分からなかった、という相談です。

結論から言うと、公式に書かれているのは「重視する能力」と「勤務地の傾向」の違いです。総合職は政策の企画立案、一般職は的確な事務処理に係る能力を重視するとされています。

勤務地では、総合職は所属高裁の所在地での勤務が中心で、多くの人が最高裁判所での勤務も経験します。

ただ、どちらも能力と勤務成績次第で昇進の道は開かれています。違いを詳しく知りたい方は、総合職の記事もあわせてどうぞ。

相談2:仕事内容を詳しく調べるのは、面接対策になりますか?

裁判所事務官の仕事内容や裁判所のしくみを調べておくことが、面接で役に立つのか知りたい、という相談です。

結論から言うと、役に立ちます。一般職(大卒程度区分)の人物試験は、配点比率が20分の8と大きな比重を占めています。

『専門的な知識を聞かれたらどうしよう』と心配な方もいますよね。公式のQ&Aでは、人物試験は専門知識を問うものではないとされています。

だからこそ、「裁判部と事務局でどんな仕事をしたいか」を自分の言葉で話せるかが大切です。

例えば「書類を正確に扱う仕事で裁判を支えたい」「窓口で来庁者が安心できる対応をしたい」のように、仕事内容と自分の強みを結びつけて話せると伝わりやすくなります。裁判所の採用サイトにある裁判所の仕事についても読んでおきましょう。

相談3:高卒で受けても、仕事内容は同じですか?給料は?

高卒者区分の第1次試験に合格した高校生から、仕事内容と給料を知りたいという相談です。

高卒者区分も、採用されれば裁判所事務官として裁判部か事務局に配置されます。一般職として、的確な事務処理に係る能力が期待される点は大卒程度区分と同じです。

初任給は、令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で、一般職(高卒者区分)が240,360円とされています。このほか期末・勤勉手当や通勤手当などがあります。

高校を卒業してすぐに働き始める人にとっては、裁判所のしくみを一から覚えることになります。ただ、配属先の先輩や書記官のもとで仕事を覚えていく点は、大卒程度区分の人と変わりません。

裁判所事務官ガイド

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よくある質問

裁判所事務官の仕事内容を簡単に教えてください。

裁判部では書記官のもとで書類の授受や法廷の準備、来庁者の対応などを担当します。事務局では総務課・人事課・会計課などで、広報・研修・設備管理といった司法行政事務を担当します。

裁判所事務官の業務は法律の知識がないとできませんか?

公式のQ&Aでは、採用試験は細かな専門知識より基本的な知識や理解を重視すると書かれています。法学部以外の出身者も多く活躍しています。

裁判所事務官の職務内容は書記官と同じですか?

違います。法廷への立会いや調書の作成などは書記官の権限で、事務官はその書記官の仕事を補助する立場です。

裁判部と事務局は自分で選べますか?

配置先は採用後に決まります。異動はおおむね3年が目安なので、どちらの仕事も経験する可能性があると考えておきましょう。

勤務時間や休日はどうなっていますか?

令和8年度の受験案内では、勤務時間は1日7時間45分、休日は土日・祝日・年末年始とされています。年次休暇は年20日(4月1日採用の年は15日)です。

まとめ

この記事の要点
  • 裁判所事務官の仕事は、配置先が裁判部か事務局かで大きく変わる
  • 裁判部では書記官のもとで、書類の授受・法廷の準備・来庁者の対応などを担当
  • 事件の流れの中で、法律で決められた手続は書記官や裁判官が担う
  • 事務局では、広報・研修・設備管理などで裁判部を人と設備の面から支える
  • 総合職と一般職は重視する能力と勤務地の傾向が違うが、昇進の道は開かれている

仕事内容が具体的に見えてくると、面接で話したいことも自然と浮かんでくるはずです。

やりがいや大変さも知りたい方は、裁判所事務官のやりがいと大変さも読んでみてください。

裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

裁判所事務官の仕事内容・なり方・採用試験の日程や科目・倍率、書記官へのキャリア、勉強法と講座の選び方を、裁判所の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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