国家一般職と裁判所事務官の違い|試験・働き方・併願の考え方

国家一般職と裁判所事務官の違いを解説する記事のアイキャッチ

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『国家一般職と裁判所事務官、どっちも国家公務員だけど何が違うの?』『併願ってできるの?』と迷っている方も多いですよね。名前に「一般職」が入っているので、同じ試験だと思っている人もいます。

結論から言うと、国家一般職は人事院が行う試験で、裁判所事務官は裁判所が独自に行う別の試験です。併願する場合は、それぞれに申し込む必要があります。

この記事を読めば、2つの試験の違いと、併願する時に日程の重なりをどう確かめればいいかが分かります。

目次

国家一般職と裁判所事務官は「別の試験」

先に結論

裁判所の採用試験は、人事院の国家公務員採用試験とは別に、独立して行われています。裁判所事務官の一般職は「裁判所事務官の一般職試験」で、国家一般職とは申込みも試験も別です。

まず押さえておきたいのは、裁判所事務官の採用試験を行っているのは裁判所だという点です。

裁判所事務官の一般職試験に合格しても、国家一般職の合格にはなりません。反対に、国家一般職に合格しても、裁判所事務官として採用されるわけではないんです。

例えば、友人とこんな会話になることもあるはずです。

「国家一般職に受かったら、裁判所でも働けるんだよね?」
「ううん、裁判所事務官は裁判所が自分で試験をしているから、別に申し込まないといけないんだ」

『同じ国家公務員なのに、なぜ試験が別なの?』と不思議に思う方もいますよね。

裁判所職員は、司法権の独立という考え方から、国家公務員の中でも特別職とされています。そのため、採用試験も裁判所が独自に行っているんです。身分の詳しい説明は裁判所事務官は国家公務員?をどうぞ。

試験・科目・面接・勤務先の4つで比べてみよう

ここが大事なところです

国家一般職と裁判所事務官は、試験を行うところ・科目・面接・勤務先の4つで比べると違いが見えやすくなります。国家一般職の細かい科目や日程は、人事院の受験案内で確かめましょう。

ここでは、裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)の側は令和8年度の受験案内の内容で、国家一般職の側は確かめ方を並べました。

比べる点裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)国家一般職
試験を行うところ裁判所人事院
科目基礎能力試験30題、専門試験30題(憲法・民法が必須、行政法・刑法・経済理論から1科目)、論文試験1題人事院の受験案内で確認
面接人物試験(個別面接)。配点比率は20分の8。官庁訪問のような訪問は不要人事院・各府省の案内で確認
勤務先希望勤務地を管轄する高裁の区域内の裁判所国の機関
身分国家公務員の特別職国家公務員
国家一般職と裁判所事務官を試験を行うところ・科目・面接・勤務先の4つで比べた図解

裁判所事務官の側で特に知っておきたいこと

裁判所事務官の専門試験は、令和7年度から大きく変わりました。憲法の記述式がなくなり、すべて多肢選択式になっています。

あわせて、出題数が憲法7題から10題、民法13題から10題に変わり、選択科目に行政法が加わりました。詳しい科目の中身は裁判所事務官の試験内容で紹介しています。

また、公式のQ&Aでは、官庁訪問のような訪問は必要ないと書かれています。

合格者の決まり方

裁判所事務官の合格者は、希望勤務地の高裁ごとに決まります。筆記試験は素点ではなく、偏差値と同じような考え方の標準点で比べられます。人物試験以外の各種目には下限の得点があり、1つでも下回ると不合格になります。

裁判所事務官ならではの仕事内容

働き方で比べるなら、仕事の中身を知っておくのがいちばんです。裁判所事務官は、採用されると各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。

配置先主な仕事
裁判部書記官のもとで、訴訟関係書類の授受や法廷の準備、来庁者の対応などの裁判事務
事務局総務課・人事課・会計課などで、広報・研修・設備管理といった司法行政事務

『裁判に関わる仕事がしたい』という気持ちがはっきりしているなら、裁判所事務官は候補に入れやすいはずです。事務官として一定期間働いた後、書記官を目指す道もあります。

倍率の見方

裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)の倍率は、第1次試験の有効受験者数を最終合格者数で割った数で見ます。全国合計は次のとおりでした。

年度申込者数最終合格者数倍率
令和6年度10,945人1,979人4.2倍
令和7年度10,739人2,135人4.2倍
令和8年度9,911人1,821人4.5倍

ただし、管轄区域によって差があり、令和8年度は東京高裁の区域が3.4倍、大阪高裁の区域が8.3倍でした。全国の数字だけで判断せず、希望する区域の数字も見ておきましょう。

裁判所事務官の試験日程と、併願する時の時期の重なり

先に結論

令和8年度の裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)は、5月9日に第1次試験、6月8日から7月3日に人物試験、7月9日に最終合格発表でした。国家一般職の日程と並べて、重なりを早めに確かめておきましょう。

国家一般職と裁判所事務官を併願する人にとって、いちばん気になるのは日程ですよね。まずは裁判所事務官の側の日程を見てみましょう。

日程令和8年度 裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)
申込受付3月13日から4月6日(インターネットのみ)
第1次試験5月9日(論文試験も同じ日)
第1次試験の合格発表5月28日
第2次試験(人物試験)6月8日から7月3日の間
最終合格発表7月9日

裁判所事務官の人物試験は、6月8日から7月3日と期間に幅があります。この期間に、国家一般職の試験や発表が重なることも考えられます。

併願する時の日程の確かめ方
  1. 裁判所の受験案内で、申込み・第1次・人物試験・最終発表の日を書き出す
  2. 人事院の受験案内で、国家一般職の同じ項目を書き出す
  3. 2つを1枚のカレンダーに並べ、重なる日に印をつける
  4. 重なりそうな日は、それぞれの受験案内や案内の連絡で扱いを確かめる
  5. 申込み期間の締切を、それぞれ早めに手帳に入れておく
国家一般職と裁判所事務官を併願する時に日程の重なりを確かめる手順の図解

日程は毎年変わります。裁判所事務官の申込みの流れは試験日と出願で詳しく紹介しています。

申込み後は変更できません

裁判所事務官の試験は、申込み後に試験の種類・特例希望の有無・希望する高裁・試験地を変更できません。併願の計画を立ててから申し込みましょう。

裁判所の総合職も考えている人は

裁判所事務官には総合職試験もあります。総合職の申込み時に特例を希望すると、総合職の各試験種目を有効に受験することで、一般職(大卒程度区分)の受験者としても合否判定を受けられます。

特例を希望した人には、一般職用の論文試験(小論文)1題が追加されます。総合職の日程は一般職より長く、令和8年度は第3次試験が7月13日から14日、最終合格発表が7月29日でした。

国家一般職とも併願するなら、総合職の日程まで含めて並べておくと安心です。詳しくは裁判所事務官の総合職とはをどうぞ。

最終合格から採用までの流れも頭に入れておく

併願して両方に合格した時は、どちらに進むかを決める場面がきます。裁判所事務官の側の流れを知っておくと、落ち着いて判断できます。

裁判所事務官の最終合格から採用まで
  1. 採用候補者名簿に、点数の高い順で載る(有効期間は1年)
  2. 高裁が希望勤務地や成績などを考えて、裁判所に推薦する
  3. 推薦を受けた裁判所から、採用の意向照会などがある
  4. 採用内定
  5. 原則として翌年の4月1日に採用

意向照会のほかに、面接を行う場合もあるとされています。

例えば、意向照会の連絡を受けた時は、こんなふうに率直に聞いてみるのも1つの方法です。

「ほかの進路とも迷っているのですが、いつまでにお返事すればよいでしょうか?」
「確認して、あらためてご連絡しますね」『どちらに行くかまだ決められない』という時は、意向照会の時に正直に状況を伝えて相談してみてください。

第1次試験の試験地は全国から選べる

裁判所事務官の第1次試験の試験地は、希望勤務地に関係なく全国から選べます。一方で、第2次の人物試験は、希望勤務地を管轄する高裁の区域内で受けます。

例えば、大学のある地域で第1次試験を受け、地元の高裁の区域で人物試験を受ける、という組み立てもできるんです。

どちらを第一志望にするか考えるための問い

併願する人も、第一志望を決めておくと勉強の配分や面接の準備がしやすくなります。

裁判所事務官を第一志望にするか考える問い
  • 裁判や法律の手続に関わる仕事にひかれる
  • 窓口や書類の仕事で、人を支えることにやりがいを感じる
  • 希望する高裁の区域で長く働きたい
  • 将来、書記官を目指す道にも興味がある

当てはまる項目が多いほど、裁判所事務官を軸にした準備が合っています。

国家一般職と裁判所事務官で迷う人からのよくある相談

この章でやること

国家一般職と裁判所事務官のどちらを受けるか、どちらに進むかで迷う人から寄せられる相談を3つ選んで答えていきます。

相談1:裁判所事務官の一般職は国家公務員に当たりますか?

国家一般職と名前が似ているので、裁判所事務官の一般職も国家公務員なのか確かめたい、という相談です。

結論から言うと、国家公務員です。裁判所職員は、国家公務員法で国家公務員の特別職とされています。

ただ、国家一般職とは別の試験で採用されます。「国家公務員だけど、人事院の試験ではない」と覚えておくと混乱しにくいです。

相談2:地元の管轄以外で受けると不利になりますか?

地元以外の地域で働きたい時や、地元以外で受ける時に不利になるのか知りたい、という相談です。

裁判所事務官の場合、合格者は希望勤務地の高裁ごとに決まります。第2次の人物試験も、希望勤務地を管轄する高裁の区域内で受けます。

つまり、どの高裁の区域を希望するかで、同じ区域を希望する人たちの中で合否が決まるしくみです。

例えば、大学は東京でも地元の福岡で働きたいなら、福岡高裁の区域を希望し、人物試験もその区域で受けることになります。第1次試験は大学の近くで受けることもできます。採用後の異動は都道府県内が一般的なので、長く暮らしたい地域で選ぶのがおすすめです。

相談3:給与や待遇は、国家一般職と裁判所事務官でどう違いますか?

国家一般職と裁判所事務官で、給与に差があるのか知りたい、という相談です。

公式のQ&Aでは、裁判所事務官は試験の種類に応じて、人事院の試験で採用された人と同様の給与とされています。

裁判所事務官(一般職・大卒程度区分)の初任給は、令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例で278,400円です。待遇で大きな差を探すより、仕事内容で選ぶ方が後悔しにくいはずです。

独学でいくか、講座を使うか

併願する人は、2つの試験の対策を同じ時期に進めることになります。

迷うところ講座が役立つ場面
憲法・民法を初めて学ぶ初学者向けの講義で考え方からつかめる
論文が書けない答案を添削してもらえる
面接の練習相手がいない面接練習で客観的に見てもらえる
2つの試験の勉強の配分が分からない学習スケジュールを組む手助けになる

すべてを講座に頼らなくても、苦手な部分だけ使う方法もあります。

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よくある質問

国家一般職と裁判所事務官は同じ試験ですか?

違います。国家一般職は人事院が、裁判所事務官は裁判所が独自に行う試験です。それぞれに申し込む必要があります。

裁判所事務官は国家一般職に含まれますか?

含まれません。裁判所事務官は国家公務員の特別職で、裁判所が独自に行う試験で採用されます。

国家一般職と裁判所事務官は併願できますか?

それぞれ別の試験なので、両方に申し込めます。日程が重ならないかを、両方の受験案内で確かめておきましょう。

裁判所事務官の第1次試験はどこで受けられますか?

第1次試験の試験地は、希望勤務地に関係なく全国から選べます。第2次の人物試験は、希望勤務地を管轄する高裁の区域内で受けます。

裁判所事務官の面接で官庁訪問は必要ですか?

公式のQ&Aでは、官庁訪問のような訪問は必要ないとされています。

まとめ

この記事の要点
  • 国家一般職は人事院、裁判所事務官は裁判所が独自に行う別の試験
  • 裁判所事務官は国家公務員の特別職
  • 4つの軸(試験を行うところ・科目・面接・勤務先)で比べると違いが分かる
  • 併願する時は、両方の受験案内を並べて日程の重なりを確かめる
  • 給与は試験の種類に応じて、人事院の試験の採用者と同様

2つの試験の違いが分かったら、裁判所事務官の側の試験の中身も見てみてください。

裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

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