当サイトの記事は編集部が裁判所の公式サイトなど公的機関の公開情報と読者の声を調べて独自に執筆しています。当サイトは裁判所の公式サイトではありません。
『最終合格したのに、まだ連絡が来ない。採用ってどう決まるの?』と落ち着かない方も多いですよね。合格のあとに何が起きるのかは、意外と知られていないところです。
結論から言うと、裁判所事務官の採用は「最終合格」「採用候補者名簿への記載」「推薦」「意向照会」「採用内定」の順に進みます。採用日は、原則として試験の翌年の4月1日です。
この記事を読めば、最終合格から4月1日までの待ち期間に何が起きて、自分は何をしておけばいいかが分かります。10月採用についての考え方もお伝えしますね。
裁判所事務官の採用はどう決まる?全体の流れ
裁判所事務官の採用は、最終合格者を成績順に載せた「採用候補者名簿」をもとに決まります。高等裁判所が推薦し、推薦を受けた裁判所が意向照会をしたうえで、採用を内定します。
令和8年度の受験案内では、合格後の流れが次のように示されています。
- 最終合格する
- 試験の種類ごと・高裁の管轄区域ごとの採用候補者名簿に、高点順で載る
- 高裁が、希望勤務地や成績などを見て、欠員のある裁判所に推薦する
- 推薦を受けた裁判所から、採用するかどうかの意向照会などがある
- 採用内定となり、原則として翌年4月1日に採用される
採用の判断には、本人の希望だけでなく、各裁判所の欠員の状況も考慮されます。ここが、試験の合否とは少し違うところなんです。

官庁訪問は必要?
『国家公務員なら、官庁訪問をしないと採用されないのでは?』と心配する方もいますよね。
裁判所の採用Q&Aでは、いわゆる官庁訪問のように裁判所を訪問する必要はないとされています。最終合格発表のあと、各裁判所から意向照会があって採用庁が決まる流れです。
なお、意向照会のほかに面接が行われる場合もあります。連絡が来た時に慌てないよう、志望理由や希望勤務地の理由はもう一度見直しておきましょう。
裁判所事務官の採用は人事院とは別
裁判所の採用試験は、人事院が行う国家公務員採用試験とは別に、裁判所が独立して実施しています。採用されると国家公務員の特別職になり、試験の種類に応じて人事院の試験で採用された人と同様の給与になります。
| 項目 | 裁判所事務官の採用 |
|---|---|
| 試験を行うところ | 裁判所(人事院とは別) |
| 採用の単位 | 試験の種類ごと・高等裁判所の管轄区域ごと |
| 採用の決まり方 | 採用候補者名簿から推薦と意向照会を経て内定 |
| 採用日 | 原則として翌年4月1日 |
| 身分 | 国家公務員の特別職 |
採用されたらどんな仕事をする?
採用されると、各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。裁判部では裁判所書記官のもとで各種の裁判事務に、事務局では総務課・人事課・会計課などで司法行政事務全般に携わります。
公式サイトの職員紹介では、刑事部の事務官の仕事として「訴訟関係書類の授受や法廷の準備、来庁者の対応など」が紹介されています。採用後の働き方をイメージしておくと、意向照会や面接の場面でも話しやすくなりますよ。
最終合格から4月1日までの「待ち期間」タイムライン
最終合格から採用日までは、半年以上あくこともあります。何が起きて、自分は何をしておけばいいのかを時間の流れで見てみましょう。
『最終合格したあと、何もしなくていいの?』と思う方もいるかもしれません。令和8年度の一般職(大卒程度区分)の日程をもとに、待ち期間の流れを並べてみます。
| 時期 | 起きること | 自分がやっておきたいこと |
|---|---|---|
| 7月9日(木) | 最終合格発表 | 受験番号の掲載を確認する |
| 発表のあと | 採用候補者名簿に高点順で記載(有効期間1年) | 連絡を受け取れる状態にしておく |
| 欠員の状況に応じて | 高裁が欠員のある裁判所に推薦 | 希望勤務地の考えをまとめておく |
| 推薦のあと | 裁判所から意向照会など(面接の場合も) | 採用されるかどうかの返事を考えておく |
| 意向照会のあと | 採用内定 | 必要な手続きの案内に従う |
| 原則として令和9年4月1日 | 採用 | 新しい生活の準備をする |
意向照会がいつ来るかは、公式には示されていません。欠員の状況や希望勤務地によって変わるので、周りの人と比べて焦らないことが大事です。
一般職(高卒者区分)の場合、令和8年度の最終合格発表は11月13日(金)でした。その後の流れは大卒程度区分と同じく、名簿への記載から始まります。

合格発表の確認方法
合格者の受験番号は、合格発表日の午前9時ごろに、裁判所の採用情報ページに掲載されます。掲載期間は、合格発表日から約2週間です。
令和8年度の受験案内には、裁判所は有料で試験の合否の連絡を請け負うことは一切行っていない、と書かれています。合否は公式の採用情報ページで確認しましょう。
待ち期間にやっておきたいこと
- 裁判所からの連絡を受け取れる電話やメールを確認しておく
- 第一希望の勤務地と、その理由を言えるようにしておく
- 第一希望以外の勤務地を打診された時の考えを決めておく
- 面接が行われた時に備えて、志望理由を見直しておく
- 併願先の手続きの期限を確認しておく
『意向照会の連絡で、何を聞かれるんだろう?』と不安な方もいますよね。採用されるかどうかの意思を聞かれる場面なので、「お受けします」「少し考えさせてください」など、自分の返事をあらかじめ考えておくと落ち着いて答えられます。
意向照会の連絡で慌てないために
意向照会がどんな方法で届くかは、公式には細かく示されていません。電話でもメールでも気づけるように、着信や受信をこまめに確認しておきましょう。
連絡に気づいたら、できるだけ早く返事をするのがおすすめです。待たせてしまうと、自分も落ち着かないですよね。
答え方は、短くてかまいません。例えば次のような言い方です。
- 「お電話ありがとうございます。ぜひお受けしたいと考えています」
- 「ありがとうございます。家族と相談して、明日までにお返事してもよろしいでしょうか」
- 「勤務地について、確認させていただきたいことがあります」
第一希望以外の勤務地を打診されることもあります。その時にどう答えるかを、家族とも話し合っておくと安心です。
採用候補者名簿と推薦の仕組み
採用候補者名簿には、最終合格者が成績の高い順に載ります。ただ、第一希望の勤務地が違う人の間では、名簿の順番と違う順序で意向照会になることがあります。
採用候補者名簿は、試験の種類ごと、高等裁判所の管轄区域ごとに作られます。名簿の有効期間は1年です。
受験生の間でいう「席次」は、この名簿の順位のことです。「席次」は公式の用語ではなく、受験生の間での呼び方なんです。
推薦の順番が名簿どおりにならない理由
高裁は、原則として最終合格者が第一希望としている勤務地を管轄する裁判所に推薦します。だから、第一希望の勤務地が違う人の間では、その裁判所の欠員状況によって、名簿の順番と違う順序で意向照会になることがあります。
例えば、同じ管轄区域でも、Xという地域の裁判所に欠員が多く、Yという地域の裁判所に欠員が少ない年があるとします。その場合、名簿の順位が下の人でも、欠員の多い地域を第一希望にしていれば、先に意向照会が来ることもありえます。
| 推薦に影響するもの | 内容 |
|---|---|
| 成績 | 採用候補者名簿の順位(高点順) |
| 希望する勤務地 | 原則として第一希望の勤務地を管轄する裁判所に推薦 |
| 各裁判所の欠員の状況 | 欠員の状況によって意向照会の順序が変わることがある |
| 本人の意向 | 第一希望以外に推薦する時は意向を確認する |
席次と採用の関係は、裁判所事務官の席次とは?採用候補者名簿の順位と採用の関係で詳しく解説しています。勤務地の決まり方については地方裁判所の事務官|勤務地の決まり方と大阪など地域別の採用も参考になります。
名簿の有効期間内に採用されない場合もある
令和8年度の受験案内には、希望する勤務地や各裁判所の欠員状況によっては、名簿の有効期間内に推薦(採用)されない場合があると書かれています。
『最終合格したら、全員採用されるわけじゃないの?』と驚く方もいますよね。ここは公式にはっきり書かれている点なので、知っておきましょう。
最終合格者数と採用予定人員を並べてみると
公式の数字を並べると、最終合格者数と採用予定人員は同じではないことが分かります。令和8年度の一般職(大卒程度区分)の例です。
| 管轄区域 | 最終合格者数 | 採用予定人員(令和8年1月現在) |
|---|---|---|
| 東京高裁 | 942人 | 155人程度 |
| 大阪高裁 | 155人 | 65人程度 |
ただ、採用予定人員は「程度」と書かれた見込みの数字です。名簿は1年有効で、欠員の状況によって推薦が行われるので、この表だけで採用の見込みを決めつけないようにしましょう。
最終合格と採用は別のものです。ほかの公務員試験や就職活動と並行している方は、それぞれの手続きの期限を見ながら、採用の見込みを考えて判断してみてください。
裁判所事務官の10月採用はある?
受験案内に書かれている採用日は、原則として翌年4月1日です。10月など年度の途中での採用は、名簿の有効期間内に欠員が出た時の推薦によるもので、決まった制度ではありません。
「裁判所事務官の10月採用」という言葉を目にして、『早く働き始めたい』と考えている方もいるはずです。特に既卒の方は、気になりますよね。
ただ、受験案内に書かれている採用日は「原則として翌年4月1日」です。10月など年度の途中の採用は、名簿の有効期間内に欠員が出て、推薦される場合によるものです。
| 項目 | 4月1日の採用 | 10月など年度途中の採用 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 受験案内に書かれた原則の採用日 | 欠員が出た時の推薦による |
| あるかどうか | 原則どおり | 年度と地域の欠員しだい |
| 時期 | 翌年4月1日 | 欠員が出た時期による |
| 確実さ | 名簿の有効期間内に採用されない場合もある | 毎年あるとは限らない |
『10月採用を希望すると、不利になる?』という声もよく見かけます。ただ、10月採用の枠や倍率が決まって公表されているわけではないので、有利・不利を数字で語ることはできません。
10月採用があるかどうかは、その年度・その地域の欠員の状況で変わります。確実な制度だと思い込まず、4月1日の採用を基本に考えておくのが安心です。
4月1日採用の年の休みと給与
4月1日に採用された場合、採用の年の年次休暇は15日です。翌年からは年20日で、残った日数は20日を限度に翌年へ繰り越せます。
初任給は、一般職(大卒程度)で278,400円、一般職(高卒者)で240,360円です。令和8年4月1日現在・東京都特別区内勤務の例なので、勤務地によって変わります。
年度の途中で採用された場合の休暇の扱いは、この記事で確認した公式情報には書かれていません。気になる方は、採用の連絡があった時に担当者へ確認してみてください。
「10月採用の枠がある」と決めつけて計画を立てることです。年度途中の採用は欠員が出た時の推薦によるものなので、あるかどうかも時期も、年度と地域によって変わります。
採用試験以外の入り口もある
裁判所で働く入り口は、採用試験のほかに、社会人経験者選考や元職員の再雇用、各裁判所の臨時的任用職員などの募集があります。
裁判所事務官の採用というと採用試験を思い浮かべますが、ほかにも入り口があります。自分の経歴に合うものがないか、一度見ておくといいですよ。
『社会人経験者選考って、自分も対象になる?』と気になる方もいますよね。社会人経験者選考は、民間企業や官公庁などで一定期間以上、正社員や正規職員として働いた経験がある人を選考で採用する仕組みです。
採用時から係長級の裁判所事務官(主任・調査員)として働くのが特徴です。選考は裁判所ごとに行われるので、働きたい地域の裁判所の募集を確認してみてください。
| 入り口 | 対象 | ポイント |
|---|---|---|
| 採用試験(総合職・一般職) | 受験資格を満たす人 | 名簿から推薦と意向照会を経て採用 |
| 社会人経験者選考 | 民間企業・官公庁等で一定期間以上の正社員・正規職員経験がある人 | 採用時から係長級(主任・調査員)。選考は裁判所ごと |
| 元裁判所職員の再雇用 | 以前裁判所で働いていた人 | 公式の中途採用ページで案内 |
| 臨時的任用職員・任期付職員 | 募集ごとに異なる | 長期休業の代替などで各裁判所が個別に募集 |
臨時的任用職員の募集は、条件が募集ごとに違います。詳しくは裁判所の臨時的任用職員とは?事務官の募集と正規採用との違いで解説しています。
これから採用試験を目指す方は、裁判所事務官になるには?なり方を4ステップでわかりやすく解説から全体の流れを確認してみてください。
裁判所事務官ガイド
公務員試験の講座を資料請求で比べてみる
法律科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。
無料資格スクール大栄の公務員講座を見る講座の内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください。
裁判所事務官の採用についてよくある相談
知恵袋などで多かった相談を3つ選び、公式に示されている内容をもとにお答えします。
相談1 採用漏れはどのくらいあるの?
『最終合格しても採用されない人は、どのくらいいるの?』という相談は、とても多く見かけます。不安になりますよね。
この記事で確認した公式情報の中には、採用漏れの割合を示した数字はありません。公式に書かれているのは、希望勤務地や欠員状況によっては、名簿の有効期間内に推薦(採用)されない場合がある、ということです。
参考として、令和8年度の一般職(大卒程度区分)では、東京高裁管轄の最終合格者が942人、採用予定人員が155人程度でした。ただ、名簿は1年有効で欠員の状況によって推薦が行われるので、この2つの数字だけで採用の見込みを判断することはできません。
相談2 既卒なので10月採用を希望したい
『既卒なので、できれば10月から働きたい。希望は通る?』という相談です。
受験案内に書かれている採用日は、原則として翌年4月1日です。10月など年度途中の採用は、名簿の有効期間内に欠員が出た時の推薦によるもので、あるかどうかは年度と地域の欠員しだいです。
早く働きたい気持ちは、意向照会や面接の場面で伝えてみてもよいでしょう。ただ、それで時期が決まるとは限らないので、4月1日の採用を基本にした計画も立てておくと安心です。
相談3 面接の評価は何段階?
『人物試験は何段階で評価されて、点数にどう反映されるの?』という相談もあります。
人物試験の評価は、A〜Dの4段階です。最終合格になるのは、A〜Cの評価を受けた人とされています。
一般職(大卒程度区分)では、人物試験の配点比率が8/20で、ウェイトは基礎能力試験と専門試験の1.25に対して2と大きく設定されています。筆記試験は素点ではなく標準点という考え方で採点されます。
- 人物試験はA〜Dの4段階評価
- 最終合格はA〜Cの人
- 人物試験の配点比率は8/20
- 評価ごとの具体的な点数
- 採用漏れの割合
- 10月採用の人数
相談4 面接で裁判の傍聴経験を聞かれなかったけど大丈夫?
『面接で、裁判の傍聴や説明会に参加したかを聞かれなかった。関心がないと思われた?』という相談もあります。
公式Q&Aでは、人物試験は受験者の人物面について、裁判所職員としての適格性を判断するためのものと説明されています。専門科目などの知識を問うものではない、とも書かれています。
質問の内容は面接ごとに違うので、聞かれなかったこと自体を気にしすぎなくて大丈夫です。結果を待つ間は、次の連絡に備えておきましょう。
よくある質問
裁判所事務官の採用日はいつですか?
令和8年度の受験案内では、原則として令和9年4月1日とされています。希望する勤務地や欠員状況によっては、名簿の有効期間内に採用されない場合もあります。
採用候補者名簿の有効期間はどれくらいですか?
1年です。最終合格者は、試験の種類ごと・高裁の管轄区域ごとの名簿に高点順で載ります。
意向照会は成績順に来ますか?
名簿は高点順ですが、第一希望の勤務地が違う人の間では、欠員状況によって名簿の順番と違う順序で意向照会になることがあります。
裁判所事務官の10月採用は毎年ありますか?
決まった制度ではありません。年度途中の採用は名簿の有効期間内に欠員が出た時の推薦によるもので、あるかどうかは年度と地域の欠員しだいです。
意向照会のほかに面接はありますか?
公式Q&Aでは、意向照会のほか、面接を実施する場合もあると説明されています。
まとめ
- 裁判所事務官の採用は、名簿への記載、推薦、意向照会を経て決まる
- 採用候補者名簿は高点順で、有効期間は1年
- 採用日は原則として翌年4月1日
- 10月など年度途中の採用は欠員しだいで、決まった制度ではない
- 社会人経験者選考や臨時的任用職員など、採用試験以外の入り口もある
最終合格から採用までの待ち期間は、落ち着かないものです。
公式に書かれている流れを知っておくだけでも、気持ちがずいぶん楽になるはずです。最新の情報は、裁判所の採用情報ページで確認してみてください。





コメント