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『裁判所事務官になりたいけど、試験の全体がつかめない』という方も多いですよね。区分がいくつもあって、日程や倍率もあちこちに書かれているので迷ってしまいます。
結論から言うと、裁判所事務官試験は裁判所が独自に行う採用試験で、大学生や社会人の多くが受けるのは「一般職(大卒程度区分)」です。
この記事を読めば、どの区分を受ければいいのか、いつ何があるのか、倍率の数字をどう読めばいいのかが一度に分かります。
裁判所事務官試験は、裁判所が独自に行う採用試験です
裁判所事務官の採用試験は、人事院が行う国家公務員採用試験とは別に、裁判所が独立して実施しています。採用されると国家公務員の特別職になります。
「公務員試験の裁判所事務官」と聞くと、国家一般職の中の1つの職種だと思われがちです。
実は、裁判所事務官の公務員試験は人事院の試験とは別物なんです。申込みも試験日も合格発表も、裁判所の受験案内に沿って進みます。
『じゃあ、国家一般職に受かっても裁判所には行けないの?』と思った方もいるはずです。
その通りで、裁判所で働きたいなら裁判所事務官の採用試験を受ける必要があります。両方を受ける併願の考え方は国家一般職と裁判所事務官の違いで詳しく書いています。
採用されるとどんな身分になる?
裁判所職員は、国家公務員の特別職です。
司法権の独立という考え方から、一般の国家公務員とは違った身分上の取り扱いがされています。
ただ、給与は試験の種類に応じて人事院の試験で採用された人と同じように決まります。地方公務員ではない、という点も覚えておきましょう。
| 項目 | 裁判所事務官の採用試験 | 人事院の国家公務員採用試験 |
|---|---|---|
| 実施するところ | 裁判所 | 人事院 |
| 採用後の身分 | 国家公務員の特別職 | 国家公務員(一般職など) |
| 主な勤務先 | 最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所 | 各府省など |
| 官庁訪問 | 不要(採用Q&Aより) | 試験による |
採用後はどこで働く?
採用されると、各裁判所の「裁判部」か「事務局」に配置されます。
裁判部では裁判所書記官のもとで裁判の事務を担当し、事務局では総務課・人事課・会計課などで司法行政の事務を担当します。
仕事の中身をもっと知りたい方は、裁判所事務官の仕事内容もあわせて読んでみてください。
試験区分は4つ、まず自分が受ける区分を決めましょう
令和8年度の裁判所事務官試験は、総合職が「院卒者区分」「大卒程度区分」、一般職が「大卒程度区分」「高卒者区分」の4つです。大学生や社会人の多くは、一般職(大卒程度区分)が中心になります。
区分の名前が似ているので、最初はここで混乱しやすいですよね。
総合職は政策の企画立案に関わる高い能力を、一般職は的確な事務処理の能力を重視する試験です。
ただ、採用された試験の種類にかかわらず、能力と勤務成績しだいで昇進の道は大きく開かれていると公式のQ&Aで説明されています。
| 区分 | 重視される力 | 受験資格の目安(令和8年度) |
|---|---|---|
| 総合職(院卒者区分) | 政策の企画立案 | 平成8年4月2日以降生まれで、大学院修士課程などを修了(見込み) |
| 総合職(大卒程度区分) | 政策の企画立案 | 平成8年4月2日から平成17年4月1日生まれ(学歴不問)など |
| 一般職(大卒程度区分) | 的確な事務処理 | 平成8年4月2日から平成17年4月1日生まれ(学歴不問)など |
| 一般職(高卒者区分) | 的確な事務処理 | 令和8年4月1日に高校卒業後2年を経過していない人と、令和9年3月までに卒業見込みの人など |
公式のQ&Aでは、実施年度の4月1日に21歳以上30歳未満なら、学歴に関係なく大卒程度区分を受けられると説明されています。
また、日本の国籍を持たない人や、国家公務員法第38条に当てはまる人は受験できません。
法学部でなくても受けられる?
受けられます。
公式のQ&Aでは、細かな専門知識の有無ではなく、基本的な知識や理解を重視していると書かれています。
法学部のほか、経済・文・教育・理学部など、いろいろな学部の出身者が活躍しているそうです。
例えば、こんな会話になることもありますよね。
「法学部じゃないけど、裁判所事務官を受けても大丈夫かな」
「公式のQ&Aでも、基本的な知識や理解を重視しているって書いてあるよ」
総合職の「特例制度」も知っておきましょう
総合職を申し込む時に特例を希望すると、総合職の試験を有効に受けたうえで、一般職(大卒程度区分)の受験者としても合否判定を受けられます。
特例を希望しても合否には影響せず、採用の時や採用後に不利になることもありません。特例希望者には一般職用に論文試験(小論文)が1題追加されます。
総合職の区分について詳しくは裁判所事務官の総合職とはで解説しています。

令和8年度の試験日程と試験内容をひと目で
令和8年度の受験案内では、総合職と一般職(大卒程度区分)の第1次試験はどちらも5月9日(土)です。申込みは3月13日(金)10時から4月6日(月)まででした。日程は毎年変わるので、最新は公式の受験案内で確認してください。
『申込みっていつから?』と焦っている方もいるはずです。
まずは大卒程度の流れを表で見てみましょう。
| 段階 | 総合職(院卒・大卒) | 一般職(大卒程度) |
|---|---|---|
| 申込受付 | 3月13日(金)10時から4月6日(月) | 同じ |
| 第1次試験 | 5月9日(土) | 5月9日(土) |
| 第1次合格発表 | 5月28日(木) | 5月28日(木) |
| 第2次 筆記 | 6月6日(土) | 論文試験は第1次試験日の5月9日に実施 |
| 第2次 人物 | 6月8日(月)から6月19日(金) | 6月8日(月)から7月3日(金) |
| 第3次 | 7月13日(月)から14日(火)、東京都 | なし |
| 最終合格発表 | 7月29日(水) | 7月9日(木) |
一般職(高卒者区分)は時期がまったく違います。令和8年度は申込みが7月1日(水)10時から7月10日(金)、第1次試験が9月13日(日)でした。
申込みの手順や、試験日までにやることは裁判所事務官の試験日と出願で詳しく書いています。
一般職(大卒程度区分)の試験内容
一般職(大卒程度区分)は、第1次試験と第2次試験の2段階です。
| 試験 | 種目 | 中身 | 配点比率 |
|---|---|---|---|
| 第1次 | 基礎能力試験(多肢選択式) | 知能分野24題・知識分野6題、2時間20分 | 5/20 |
| 第1次 | 専門試験(多肢選択式) | 憲法10題・民法10題と、行政法・刑法・経済理論から1科目10題、1時間30分 | 5/20 |
| 第2次 | 論文試験(小論文) | 1題・1時間(第1次試験日に実施) | 2/20 |
| 第2次 | 人物試験(個別面接) | 人柄・資質・能力 | 8/20 |
ここで目を引くのが、人物試験の配点比率が8/20と一番大きいことです。
筆記だけ頑張ればいい試験ではない、ということですね。科目や配点の細かい話は裁判所事務官の試験内容にまとめています。
令和7年度から、一般職(大卒程度区分)の専門試験は憲法の記述式がなくなり、すべて多肢選択式になりました。古い情報を見る時は注意してください。くわしくは専門記述(憲法)の変更点で解説しています。
最終合格の後はどうなる?
最終合格した人は、試験の種類ごと・高裁の管轄区域ごとの「採用候補者名簿」に、点数の高い順で載ります。名簿の有効期間は1年です。
そのあと高裁が希望勤務地や成績などを見て、原則として第一希望の勤務地を管轄する裁判所に推薦します。推薦を受けた裁判所から採用の意向を聞かれ、内定へ進む流れです。
採用は原則として翌年の4月1日です。令和8年度の試験なら、令和9年4月1日になります。
ただ、希望勤務地や欠員の状況によっては、名簿の有効期間内に推薦されない場合もあると公式に書かれています。最終合格がゴールではない、という点は知っておきたいですね。
5年分の倍率推移から分かる「数字の正しい読み方」
倍率は、その年の受験者の数と最終合格者の数の両方で動きます。申込者数だけを見て「今年は受かりやすい」と決めつけないことが大事です。
倍率の話は、受験生がいちばん気になるところですよね。
この記事でいう倍率は、「第1次試験の有効受験者数÷最終合格者数」です。公式の「試験の実施結果」の数字から並べると、次のようになります。
| 年度 | 申込者数 | 第1次有効受験者 | 最終合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和4年度(2022年) | 11,454 | 8,773 | 1,588 | 5.5 |
| 令和5年度(2023年) | 11,469 | 8,575 | 2,351 | 3.6 |
| 令和6年度(2024年) | 10,945 | 8,355 | 1,979 | 4.2 |
| 令和7年度(2025年) | 10,739 | 8,911 | 2,135 | 4.2 |
| 令和8年度(2026年) | 9,911 | 8,131 | 1,821 | 4.5 |
一般職(裁判所事務官、大卒程度区分)の全国合計で、総合職の特例希望者も含んだ数字です。
読み方1 申込者が減っても倍率が下がるとは限らない
令和8年度は申込者数が9,911人と、5年の中で一番少なくなりました。
それでも倍率は4.5で、令和7年度の4.2より上がっています。最終合格者も1,821人に減ったからなんです。
『申込みが減ったから楽になるはず』と考えたくなりますが、合格者の数しだいで結果は変わります。
読み方2 最終合格者の数は年によって大きく動く
令和5年度は最終合格者が2,351人で、倍率は3.6でした。
一方、令和4年度は1,588人で、倍率は5.5です。受験者の数はどちらも8,000人台なので、倍率の差はほぼ合格者の数で生まれています。
読み方3 全国の倍率と、自分の地域の倍率は別物
合格者は、希望する勤務地の高等裁判所ごとに決まります。だから、自分が受ける地域の数字も見ておきたいところです。
| 令和8年度・一般職(大卒程度) | 申込者数 | 最終合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 全国合計 | 9,911 | 1,821 | 4.5 |
| 東京高裁の管轄区域 | 4,011 | 942 | 3.4 |
| 大阪高裁の管轄区域 | 1,575 | 155 | 8.3 |
同じ年度でも、地域によってここまで差があります。大阪高裁の管轄区域は令和7年度が5.9だったので、年によっても動いています。
読み方4 総合職や高卒者区分は別の見方をする
総合職(大卒程度区分)は令和8年度の申込者が523人、最終合格者が8人で、倍率は46.4でした。
ただ、総合職は特例制度で一般職の合否判定も受けられるので、総合職の倍率だけで判断しなくて大丈夫です。
一般職(高卒者区分)は令和7年度で申込者2,609人、最終合格者214人、倍率は9.1でした。
- 倍率の定義(何を何で割ったか)を確認する
- 申込者数と最終合格者数を両方見る
- 全国の数字と、自分が受ける高裁の管轄区域の数字を分けて見る
- 1年分ではなく、数年分の動きで見る
- 最新の数字は公式の「試験の実施結果」で確認する
倍率は「受かりにくさ」の目安にはなりますが、合否を決めるのは自分の得点と人物試験の評価です。
数字に一喜一憂するより、配点の大きい人物試験までを見すえて準備した方が結果につながりやすいですよ。

裁判所事務官試験でよくある相談
受験生からよく寄せられる相談を、公式の情報で答えられる範囲で紹介します。
相談1 申込者が大幅に減ったのに合格者が変わらないなら、受かりやすくなる?
『申込者が減ったなら、そのぶん楽になるのでは』という相談です。
結論から言うと、そうとは言い切れません。倍率は有効受験者数と最終合格者数で決まり、どちらも年によって動きます。
実際、令和8年度は申込者数が前年より減りましたが、最終合格者も減ったため倍率は4.2から4.5に上がりました。
また、合否は高裁の管轄区域ごとに決まります。全国の申込者数より、自分の地域の数字を見る方が役に立ちます。
相談2 面接(人物試験)の配点はどうなっている?
『面接は何段階評価で、Aだと何点なの?』という相談も多いです。
公式の「合格者の決定方法」では、人物試験はAからDの4段階で評価され、最終合格になるのはAからCの人とされています。評価ごとの点数は、受験案内には書かれていません。
ただ、配点比率は人物試験が8/20で、4つの種目の中で一番大きいです。筆記が終わった後の準備がとても大事なんです。
相談3 自己採点で教養4割・専門5割。もう無理?
『自己採点が思ったより低くて、二次の準備をしていいのか迷う』という声もあります。
公式では、筆記試験は素点ではなく標準点(偏差値と同じような考え方)で評価されます。そのうえで、基礎能力試験などには下限の得点が定められ、1つでも下回ると不合格になります。
何点なら合格という基準は公表されていません。だから、第1次の合格発表までは、二次の準備を止めないでおきましょう。
自己採点の点数だけで落ちたと決めて、合格発表までの数週間を何もせずに過ごしてしまうことです。令和8年度の一般職(大卒程度)は、第1次合格発表が5月28日、人物試験の開始が6月8日でした。
相談4 最終合格したけど席次が真ん中くらい。採用される?
『名簿の順位が40番台で、採用されるか不安』という相談もよく見かけます。
採用候補者名簿は点数の高い順ですが、推薦は希望勤務地・成績・欠員の状況などを見て行われます。第一希望の勤務地が違う人の間では、名簿の順番と違う順で意向照会が行われることもあります。
つまり、順位だけで採用の可否は決まりません。受験生がいう「席次」の考え方は裁判所事務官の席次とはで詳しく書いています。
今から裁判所事務官試験の準備を始めるなら
最初にやることは、受ける区分と希望する勤務地(高等裁判所)を決めて、受験案内を読むことです。そのうえで、配点の大きい専門試験と人物試験に時間を回すと、準備にムダが出にくくなります。
『何から手をつければいいのか分からない』という方も多いですよね。立場ごとに、最初の一歩をまとめてみました。
| あなたの状況 | 最初にやること | 次にやること |
|---|---|---|
| 大学1〜2年生 | 受験資格と試験区分を確認する | 憲法・民法の基本から少しずつ読む |
| 大学3年生 | 一般職(大卒程度)の受験案内を読む | 基礎能力試験と専門試験の問題に触れる |
| 法学部ではない人 | 専門試験の科目(憲法・民法と選択科目)を確認する | 選択科目を行政法・刑法・経済理論から考える |
| 社会人 | 年齢の条件(30歳未満など)を確認する | 社会人経験者選考採用の募集もあわせて見る |
| 高校生 | 一般職(高卒者区分)の日程を確認する | 基礎能力試験と作文試験の対策を始める |
社会人の方は、採用試験とは別に「社会人経験者選考採用」という道もあります。選考は裁判所ごとに行われるので、公式の中途採用のページを確認してみてください。
なり方の全体の流れは裁判所事務官になるにはで4つのステップに分けて書いています。
独学でいくか、講座を使うか
裁判所事務官試験は、独学で受ける人もいれば、公務員講座を使う人もいます。どちらが正解ということはありません。
ただ、次のような場面では講座を使うと楽になることが多いです。
- 憲法・民法などの法律科目を初めて学ぶ時
- 論文試験(小論文)を誰かに添削してほしい時
- 配点の大きい人物試験に向けて、面接の練習相手がほしい時
- 仕事や学業と両立しながら、勉強の予定を自分で管理しきれない時
例えば、資格スクール大栄には公務員講座があり、高校生・大学生・社会人向けのコースが用意されています。全国に教室があって、資料請求や無料体験・説明会の予約ができます。
裁判所事務官専用のコースは、公式ページでは確認できませんでした。教養・専門対策のコースで裁判所事務官の科目に対応できるかを、資料請求や説明会で確かめてみてください。
講座の比べ方は裁判所事務官の予備校・通信講座の選び方で詳しく書いています。
裁判所事務官ガイド
公務員試験の講座を資料請求で比べてみる
法律科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。
無料資格スクール大栄の公務員講座を見る講座の内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください。
よくある質問
裁判所事務官試験は国家公務員試験の一つですか?
採用されると国家公務員の特別職になりますが、試験は人事院の国家公務員採用試験とは別に、裁判所が独立して実施しています。国家一般職に合格しても裁判所事務官にはなれないので、裁判所の採用試験を受ける必要があります。
裁判所事務官の採用試験は何歳まで受けられますか?
令和8年度の一般職(大卒程度区分)は、平成8年4月2日から平成17年4月1日生まれの人が学歴に関係なく受けられます。公式のQ&Aでは、実施年度の4月1日に21歳以上30歳未満なら学歴に関係なく受験できると説明されています。
裁判所事務官試験の倍率はどれくらいですか?
一般職(大卒程度区分)の全国合計では、令和8年度が4.5、令和7年度が4.2でした。第1次試験の有効受験者数を最終合格者数で割った数字で、地域によって大きく違います。
高卒者区分の試験内容は大卒程度区分と同じですか?
違います。令和8年度の一般職(高卒者区分)は、第1次試験が基礎能力試験(知能分野24題・知識分野21題)と作文試験、第2次試験が人物試験(個別面接)です。専門試験はありません。
試験の申込みは郵送でもできますか?
申込みはインターネットのみです。令和8年度の大卒程度区分では「事前登録」と「申込受付」の2段階があり、事前登録だけでは申込みは終わっていません。
まとめ
- 裁判所事務官試験は、人事院とは別に裁判所が独自に行う採用試験
- 区分は総合職2つと一般職2つ。大学生や社会人の多くは一般職(大卒程度区分)
- 令和8年度の大卒程度の第1次試験は5月9日(土)、日程は毎年公式で確認する
- 人物試験の配点比率が8/20で一番大きい
- 倍率は申込者数だけでなく、最終合格者数と地域で読む





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