裁判所事務官の一次試験|基礎能力試験と専門試験の対策

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『裁判所事務官の一次試験って、何をどれだけ勉強すればいいの?』と悩んでいる方も多いですよね。基礎能力試験も専門試験も30題ずつあり、どこから手をつけるか迷ってしまいます。

結論から言うと、裁判所事務官の一次試験は「下限の得点を超えること」と「当日の時間配分」の2つを意識すると、準備の優先順位がはっきりします。

この記事を読めば、基礎能力試験と専門試験それぞれの対策と、試験当日の解く順番と体力の使い方が分かります。

目次

裁判所事務官の一次試験では何が出る?

先に結論

令和8年度の受験案内では、一般職(大卒程度区分)の第1次試験は基礎能力試験と専門試験の2種目です。どちらも多肢選択式の30題で、同じ日に第2次試験の論文試験(小論文)も行われます。

まずは一次試験の日に受けるものを並べてみましょう。

種目出題時間配点比率試験の区分
基礎能力試験知能分野24題・知識分野6題の30題2時間20分5/20第1次
専門試験憲法10題・民法10題、行政法・刑法・経済理論から1科目10題の30題1時間30分5/20第1次
論文試験(小論文)1題1時間2/20第2次(第1次試験日に実施)

令和8年度は、この3つを5月9日(土)にまとめて受けました。日程は毎年変わるので、最新は公式の受験案内で確認してください。

『論文は二次試験なのに、一次の日に受けるの?』と驚く方もいるはずです。

そうなんです。論文試験は第2次試験の種目ですが、第1次試験の日に行われます。

一次の日は、合わせて4時間50分の筆記を受ける長い1日になるんです。

一次試験の合否はどう決まる?

第1次試験の合否は、基礎能力試験と専門試験の点数で決まります。

点数は素点ではなく標準点(偏差値と同じような考え方)で比べられます。そして、それぞれの種目に下限の得点があり、1つでも下回ると不合格です。

押さえたいこと中身
比べ方素点ではなく標準点
下限の得点満点の20〜50%を基本に種目ごとに決まる
下回った場合ほかの種目が良くても不合格
合格者の決め方希望勤務地の高等裁判所ごと

基礎能力試験と専門試験は、どちらも満点30題に対して下限の得点が定められています。何点なら合格という基準は公表されていません。

試験全体の種目と配点は裁判所事務官の試験内容で詳しく書いています。

基礎能力試験の対策は「知能分野」から

先に結論

裁判所事務官の基礎能力試験は、30題のうち24題が知能分野です。知能分野で安定して点を取れるようにすることが、一番効く対策になります。

基礎能力試験は、教養試験と呼ばれることもありますよね。

30題のうち知能分野が24題、知識分野が6題です。割合でいうと、知能分野が全体の8割を占めています。

『知識分野も広いから、全部やらないと不安』という方も多いはずです。

ただ、知識分野は6題です。限られた時間をどこに使うかを考えると、まずは知能分野に時間をかける方が点数につながりやすいんです。

知能分野は「毎日少しずつ」が効く

知能分野は、考え方に慣れるほど解くスピードが上がる問題です。

一度にまとめて勉強するより、毎日決まった数を解く方が身につきやすくなります。

知能分野の進め方
  1. 問題集の例題を読み、解き方の流れをつかむ
  2. 同じ型の問題を、時間を計らずに解いてみる
  3. 間違えた問題に印をつけ、数日後にもう一度解く
  4. 慣れてきたら1題あたりの時間を計って解く
  5. 直前期は30題を2時間20分で通して解く練習をする

例えば、平日は1日数題、週末にまとめて復習する、というリズムでも十分続けられます。

知識分野は深追いしすぎない

知識分野は6題なので、範囲を広げすぎないのがコツです。

問題集で出題のされ方を確かめ、よく出る範囲から少しずつ押さえていきましょう。どの分野から何題出るかの細かい内訳は、受験案内には書かれていません。

得意・苦手で進め方を変える

同じ基礎能力試験でも、得意な人と苦手な人ではやることが変わります。

あなたの状況最初にやること気をつけたいこと
知能分野が苦手例題を読んで解き方の型を覚える最初から時間を計らない
知能分野は解けるが遅い1題あたりの時間を計って解く解けない問題で止まらない
知能分野は得意知識分野の頻出範囲を押さえる演習の量を落とさない

『数学が苦手だったから、知能分野は無理かも』と感じる方もいるはずです。

ただ、知能分野は学校の数学の得点とは別の、慣れの要素が大きい問題です。解き方の型を1つずつ増やしていけば、少しずつ解ける問題が増えていきますよ。

よくある失敗

知識分野の暗記に時間を使いすぎて、知能分野の演習が足りなくなることです。基礎能力試験の下限の得点を超えるには、24題ある知能分野の安定がいちばん大事です。

専門試験の対策は憲法・民法を土台に

先に結論

裁判所事務官の専門試験は、憲法10題・民法10題が必須です。選択科目は行政法・刑法・経済理論から1科目で、試験当日に問題を見てから選べます。

専門試験は、法律を初めて学ぶ人にとって一番の山場ですよね。

ただ、公式のQ&Aでは、細かな専門知識より基本的な知識や理解を重視していると説明されています。まずは基本を押さえることから始めましょう。

憲法と民法は早めに始める

憲法と民法は、合わせて20題です。専門試験の3分の2を占めます。

特に民法は範囲が広いので、早めに一通り読んでおくと後が楽になります。

科目出題数進め方の目安
憲法10題人権と統治の基本を読み、問題集で確認する
民法10題範囲が広いので、早めに全体を一通り読む
選択科目10題1科目に絞り、憲法・民法の後に始める

法律の初学者がつまずきやすいところ

法律を初めて学ぶと、最初は条文や用語の言い回しに戸惑いますよね。

例えば、民法では「善意」が「ある事情を知らないこと」という意味で使われます。日常の言葉と意味が違う用語が多いので、最初は用語の意味を押さえるだけで精一杯になりがちです。

ここで止まってしまう人も多いのですが、1回目で全部を理解しようとしなくて大丈夫です。全体を一通り読み、問題を解きながら2回目、3回目で理解を深めていきましょう。

令和7年度から変わった点に注意

令和7年度から、一般職(大卒程度区分)の専門試験は形が変わりました。

憲法は7題から10題に、民法は13題から10題になりました。選択科目には行政法が加わり、刑法・経済理論・行政法から1科目を選ぶ形です。

そして、憲法の記述式がなくなり、すべて多肢選択式になりました。古い体験記や問題集を使う時は、この変更を頭に入れておきましょう。

くわしくは専門記述(憲法)の変更点で解説しています。

選択科目は自分の背景で選ぶ

選択科目は当日に選べますが、準備は1科目に絞っておくのがおすすめです。

選択科目を決める時のチェック
  • 大学の授業で学んだ科目があるか
  • 憲法・民法と一緒に勉強しやすいか
  • 問題集を読んでみて続けられそうか
  • 準備にかけられる時間がどれくらいあるか

例えば、法学部で行政法の授業を取った人なら行政法、経済学部の人なら経済理論が考えやすいです。

一次試験までの勉強の重心を時期で変える

同じ1年でも、時期によって力を入れるところは変わります。目安として、こんな流れで考えてみてください。

時期勉強の重心ひと言でいうと
準備を始めたころ憲法・民法を一通り読む、知能分野の型を覚える土台づくり
中盤問題集を繰り返し解く、選択科目を始める解ける問題を増やす
申込みのころ(令和8年度は3月から4月)苦手な分野を見直す、論文の型を練習する穴を埋める
直前期本番と同じ時間で通して解く時間配分を体に覚えさせる

『もう時間が少ないかも』という方は、表の下の段から始めても大丈夫です。今の時期に合わせて、できることから手をつけていきましょう。

一次試験の基礎能力試験と専門試験で、時間をかける順番を示した図解

当日の時間割から考える「解く順番」と体力配分

先に結論

一次試験の日は、基礎能力試験2時間20分、専門試験1時間30分、論文試験1時間の合わせて4時間50分を1日で受けます。1題あたりの目安時間を決め、試験の合間に頭を切り替えることが大切です。

ここが、ほかではあまり語られないところです。

一次試験は「何が出るか」だけでなく、「長い1日をどう乗り切るか」でも結果が変わります。当日の開始時刻や順番は、受験票と受験案内で確認しておきましょう。

1題あたりの目安時間を決めておく

30題を均等に割ると、目安は次のようになります。

種目時間題数1題あたりの目安
基礎能力試験2時間20分30題約4分40秒
専門試験1時間30分30題3分
論文試験1時間1題構想と見直しを含めて60分

基礎能力試験は1題あたりの時間に余裕があるように見えます。ただ、知能分野には時間のかかる問題もあるので、知識分野を手早く解いて時間を残す、という考え方もあります。

解く順番の例

解く順番に正解はありませんが、例えばこんな考え方ができます。

基礎能力試験の解く順番の例
  1. 最初に全体をざっと見て、すぐ解けそうな問題に印をつける
  2. 知識分野など短時間で答えられる問題を先に片づける
  3. 知能分野を、得意な型から順に解く
  4. 時間がかかりそうな問題は後回しにして、最後に戻る
  5. 終了前にマークのずれがないかを確認する

専門試験では、最初に選択科目の3科目をざっと見て、どれを解くかを決める人もいます。

ただ、ここで迷う時間が長いと、3分の目安がどんどん削られます。準備した科目を基本にして、よほど難しくない限り予定どおりに解くのが安全です。

一次試験の日の4時間50分を、1題あたりの目安時間と切り替えで乗り切る流れの図解

体力配分で気をつけたいこと

『最後の論文までに集中力が切れそう』という不安を持つ方も多いですよね。

4時間50分の筆記は、模試でもなかなか経験しない長さです。本番前に一度、家で同じ時間の流れを通してみると、自分の疲れ方が分かります。

当日の体力配分チェック
  • 前日は早めに寝て、当日の朝ごはんを抜かない
  • 試験の合間に、軽く食べられるものと飲み物を用意しておく
  • 終わった試験の答えを合間に見返して落ち込まない
  • 論文の前に、書く順番を短くメモする時間を取る

特に、終わった試験の出来を合間に気にしすぎるのは避けたいところです。

「さっきの専門、全然できなかった」
「まだ論文が残っているから、いったん忘れよう」

こんなふうに、自分に声をかけて切り替えてみてください。

論文試験の1時間の使い方

筆記の最後の山が論文試験(小論文)です。1題を1時間で書きます。

時間の目安やること
最初の10分ほど問題文を読み、結論と理由をメモする
次の40分ほどメモの順に書き進める
最後の10分ほど誤字や文のつながりを見直す

この配分はあくまで一例です。過去に練習した時の自分のペースに合わせて、調整してみてください。

前日までに用意しておく持ち物

当日のルールも確認しておきましょう。

確認すること中身
受験票スマートフォンに保存して提示する
六法持ち込みはできない
試験地第1次試験と第2次の筆記は、希望勤務地に関係なく全国から選べる
顔写真申込後のアップロード期限(令和8年度の大卒程度は4月17日(金))までに済ませる

一次試験の結果をどう受け止める?

先に結論

自己採点で不安になっても、第1次合格発表までは人物試験の準備を続けましょう。合否は標準点と下限の得点、そして高裁の管轄区域ごとに決まるので、点数だけでは判断できません。

試験が終わると、自己採点の結果に一喜一憂してしまいますよね。

ただ、何点で合格という基準は公表されていません。そして最終合格には、配点比率8/20の人物試験が待っています。

令和8年度の一般職(大卒程度)では、第1次合格発表が5月28日(木)、人物試験が6月8日(月)からでした。発表を待ってから準備を始めると、使える時間はわずかです。

一次試験の後の時期やっておきたいこと
試験の翌日から数日自己採点をして、気持ちを切り替える
合格発表まで志望動機や自分の経験を書き出し、面接の準備を始める
合格発表の後案内に沿って準備を進め、面接の練習を重ねる

ちなみに、この記事でいう倍率は「第1次試験の有効受験者数÷最終合格者数」です。令和8年度の一般職(大卒程度)の全国合計は4.5でした。

高卒者区分の一次試験は中身が違う

一般職(高卒者区分)を受ける高校生の方は、試験の中身が大卒程度区分と違うので注意しましょう。

令和8年度の高卒者区分の第1次試験は、基礎能力試験(知能分野24題・知識分野21題、1時間40分)と作文試験(50分)でした。専門試験はありません。

試験日も違い、令和8年度は9月13日(日)が第1次試験でした。高卒者区分の日程は裁判所事務官の試験日と出願で確かめてみてください。

独学でいくか、講座を使うか

一次試験の対策は、独学で進める人もたくさんいます。

ただ、次のような場面では講座を使うと楽になることがあります。

  • 憲法・民法などの法律科目を初めて学び、自分だけでは理解が進まない時
  • 論文試験の答案を誰かに添削してほしい時
  • 一次の後すぐに始まる人物試験に向けて、面接の練習相手がほしい時
  • 試験日までの勉強のスケジュールを自分で管理しきれない時

講座を比べる時のポイントは、裁判所事務官の予備校・通信講座の選び方で詳しく書いています。独学の進め方は裁判所事務官は独学で受かる?も参考にしてみてください。

裁判所事務官ガイド

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法律科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。

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講座の内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください。

裁判所事務官の一次試験でよくある相談

受験生からよく寄せられる相談を、公式の情報で答えられる範囲で紹介します。

相談1 一次試験のボーダーは40点くらいと聞いた。本当?

『模試を受けたことがないから、ボーダーの目安を知りたい』という相談です。

結論から言うと、何点がボーダーという数字は公式には公表されていません。第1次試験の合否は、標準点と下限の得点によって、希望勤務地の高裁ごとに決まります。

ネットで聞く点数は、年や地域が違う人の話かもしれません。自分の地域の倍率を公式の「試験の実施結果」で確かめつつ、点数を気にしすぎずに準備を進めておきましょう。

相談2 一次がボーダーぎりぎりだったら、面接はAを取らないと厳しい?

『筆記がぎりぎりなら、面接で挽回するしかないの?』という不安の声もあります。

公式の「合格者の決定方法」では、人物試験はAからDの4段階で、最終合格はAからCの人です。そのうえで、各種目の標準点にウェイトを掛けて合計した点数で最終合格者が決まります。

人物試験のウェイトは2で、基礎能力試験・専門試験の1.25より大きいです。筆記の結果にかかわらず、面接の準備に力を入れる価値は大きいですよ。

相談3 基礎能力試験の科目別の出題数が見つからない

『数的処理と文章理解と時事だけで大丈夫か知りたい』という相談もあります。

受験案内に書かれているのは、知能分野24題・知識分野6題という分け方までです。科目ごとの細かい出題数は書かれていません。

だからこそ、24題ある知能分野を中心に準備しておくのが安心です。知識分野は、問題集で出題のされ方を確かめながら、範囲を絞って進めてみてください。

相談4 教養14点・専門19点の合計33点。一次の合格は厳しい?

『自己採点の結果が思わしくなくて、気持ちが折れそう』という相談もあります。

何点なら合格かは公表されていないので、このサイトから合否を言うことはできません。点数は標準点に直して比べられ、下限の得点も種目ごとに決まるからです。

結果が出るまでは、面接の準備を少しでも進めておきましょう。仮に今回うまくいかなかった場合も、今回の自己採点は次の準備の一番の手がかりになりますよ。

よくある質問

裁判所事務官の一次試験は何科目ありますか?

一般職(大卒程度区分)の第1次試験は、基礎能力試験と専門試験の2種目です。専門試験は憲法・民法が必須で、行政法・刑法・経済理論から1科目を選びます。同じ日に第2次試験の論文試験も行われます。

裁判所事務官の基礎能力試験の時間は何分ですか?

令和8年度の一般職(大卒程度区分)では、基礎能力試験は30題を2時間20分で解きます。知能分野24題・知識分野6題です。

一次試験の試験地は自由に選べますか?

第1次試験と第2次試験の筆記試験の試験地は、希望勤務地に関係なく全国から選べます。ただし申込後は試験地を変更できません。

高卒者区分の一次試験も同じ内容ですか?

違います。令和8年度の一般職(高卒者区分)の第1次試験は、基礎能力試験(知能分野24題・知識分野21題、1時間40分)と作文試験(50分)です。

まとめ

この記事の要点
  • 一次試験は基礎能力試験と専門試験、同じ日に論文試験も受ける
  • 基礎能力試験は30題中24題が知能分野、まずはここを安定させる
  • 専門試験は憲法・民法が必須、選択科目は1科目に絞って準備する
  • 当日は合わせて4時間50分、1題あたりの目安時間と切り替えが大事
  • 自己採点に関係なく、合格発表までに人物試験の準備を始める
裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

裁判所事務官の仕事内容・なり方・採用試験の日程や科目・倍率、書記官へのキャリア、勉強法と講座の選び方を、裁判所の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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