裁判所事務官の試験内容|一般職試験の科目と配点をやさしく解説

裁判所事務官の試験内容と配点を解説する記事のアイキャッチ

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『裁判所事務官の試験って、結局どんな科目が出るの?』と調べ始めた方も多いですよね。受験案内は情報が多く、どこから読めばいいか迷ってしまいます。

結論から言うと、裁判所事務官の試験内容は、一般職(大卒程度区分)なら「基礎能力試験・専門試験・論文試験・人物試験」の4つの種目でできています。

この記事では、それぞれの中身と配点、合否の決まり方、そして配点から考えた勉強の順番までをまとめました。

目次

裁判所事務官の試験内容は「4つの種目」でできています

先に結論

令和8年度の受験案内では、一般職(大卒程度区分)の試験は第1次試験が2種目、第2次試験が2種目です。配点比率は人物試験が8/20と一番大きく、筆記の3種目を合わせた12/20と比べても大きな割合を占めます。

まずは全体を1枚の表で見てみましょう。

試験種目出題時間配点比率
第1次基礎能力試験(多肢選択式)知能分野24題・知識分野6題の30題2時間20分5/20
第1次専門試験(多肢選択式)憲法10題・民法10題と、行政法・刑法・経済理論から1科目10題の30題1時間30分5/20
第2次論文試験(小論文)1題(第1次試験日に実施)1時間2/20
第2次人物試験(個別面接)人柄・資質・能力8/20

ここで意外に思われやすいのが、論文試験が第2次試験なのに第1次試験の日に行われることです。

令和8年度は、5月9日(土)に基礎能力試験・専門試験・論文試験の3つをまとめて受けました。つまり筆記は1日で終わり、そのあとは人物試験だけ、という流れなんです。

『専門試験って、法学部じゃないと無理なのでは』と心配な方もいるはずです。

公式のQ&Aでは、細かな専門知識より基本的な知識や理解を重視していると説明されています。法学部以外の出身者も多く活躍しているそうですよ。

令和8年度の流れを時間軸で見ると

種目と日付を並べると、どこに山があるのかが分かりやすくなります。

時期(令和8年度)受けるものこの時期にやること
5月9日(土)基礎能力試験・専門試験・論文試験筆記の3種目を1日で受ける
5月28日(木)第1次合格発表人物試験に向けた準備を仕上げる
6月8日(月)から7月3日(金)人物試験(個別面接)指定された日に面接を受ける
7月9日(木)最終合格発表採用に向けた意向照会などを待つ

日程は毎年変わるので、最新は公式の受験案内で確認してください。

一般職(大卒程度区分)の4つの種目と配点比率の図解

種目ごとの中身を順番に見ていきましょう

先に結論

基礎能力試験は知能分野が中心、専門試験は憲法と民法が必須です。論文は1題を1時間で書き、人物試験は専門知識を問わない個別面接です。

ここからは、4つの種目を1つずつ見ていきます。

基礎能力試験は「知能分野」が8割

基礎能力試験は30題のうち、知能分野が24題、知識分野が6題です。

割合でいうと、知能分野が全体の8割を占めています。基礎能力試験の点数は、知能分野でどれだけ取れるかで大きく変わるということですね。

試験時間は2時間20分です。30題を均等に割ると、1題あたり4分40秒ほどになります。

『知能分野と知識分野って、何が違うの?』と思いますよね。

ざっくり言うと、知能分野は考える力を、知識分野は覚えている知識を見る問題です。出題の細かい内訳は年によって違うので、受験案内や問題集で確かめておきましょう。

専門試験は憲法・民法が必須

裁判所事務官の専門試験は、憲法10題・民法10題が必須で、残りの10題は選択科目です。

選択科目は、行政法・刑法・経済理論の3つから1科目を選びます。どの科目を解くかは、試験当日に問題を見てから選べます。

科目出題数区分
憲法10題必須
民法10題必須
行政法・刑法・経済理論1科目10題選択(当日に選べる)

試験時間は1時間30分です。30題なので、1題あたり3分が目安になります。

令和7年度から変わったこと

令和7年度から、専門試験の憲法の記述式がなくなり、すべて多肢選択式になりました。あわせて憲法は7題から10題に、民法は13題から10題に変わり、選択科目に行政法が加わっています。くわしくは専門記述(憲法)の変更点で解説しています。

選択科目はどう選ぶ?

選択科目は当日に選べますが、勉強の段階では1科目に絞っておく人が多いです。自分の学部や得意分野から考えてみてください。

あなたの状況考えやすい選択科目理由
法学部で行政法の授業を取った行政法授業の内容をそのまま生かせる
法学部で刑法が得意刑法必須の憲法・民法と同じ法律科目でまとめて学べる
経済学部経済理論大学で学んだ内容と重なりやすい
法律も経済も初めて3つの入門書を少しずつ読んで決める自分が読みやすい科目を選ぶと続けやすい

当日に問題を見て、予定と違う科目に切り替えることもできます。ただ、準備していない科目で10題を解くのは大変なので、基本は1科目に集中しておきましょう。

論文試験(小論文)は1題を1時間で

論文試験は1題で、時間は1時間です。配点比率は2/20と、4つの種目の中では一番小さくなっています。

ただ、論文も「下限の得点」がある種目の1つです。配点が小さいから白紙でいい、ということにはなりません。

それに、論文試験は基礎能力試験と専門試験と同じ日に受けます。1日で3つの筆記を受けることになるので、最後まで集中力を残しておく意識も大切ですよ。

『小論文は国語の作文と同じでいいの?』と思う方もいるはずです。1時間で1題を書き切るには、書き始める前に結論と理由を短くメモしてから書く練習をしておくと安心です。

人物試験は専門知識を問わない個別面接

人物試験は個別面接で、人柄・資質・能力を見る試験です。公式のQ&Aでは、専門知識を問うものではないと説明されています。

評価はAからDの4段階で、最終合格になるのはAからCの人です。

令和8年度の人物試験は、6月8日(月)から7月3日(金)の間に行われました。人物試験は、希望する勤務地を管轄する高等裁判所の管轄区域内で受けます。

人物試験で考えておきたいこと

人物試験は個別面接なので、話す材料を前もって用意しておくと落ち着いて答えられます。

例えば、こんなやり取りを想像してみてください。

「裁判所事務官を志望した理由を教えてください」
「裁判部で書記官を支える仕事と、事務局で裁判所の運営を支える仕事の両方に関心があり、志望しました」

このように、裁判部と事務局の両方の仕事を知ったうえで話せると、仕事への理解が伝わりやすくなります。仕事の中身は裁判所事務官の仕事内容で確かめておきましょう。

試験当日に関わるルール
  • 六法の持ち込みはできない
  • 専門試験の選択科目は当日に問題を見て選べる
  • 論文試験は第1次試験の日に受ける
  • 受験票はスマートフォンに保存して提示する

合否はどう決まる?標準点と下限の得点

先に結論

筆記試験は素点ではなく標準点で比べられます。さらに人物試験以外の種目には下限の得点があり、1つでも下回ると不合格です。合格者は希望勤務地の高等裁判所ごとに決まります。

『結局、何点取れば受かるの?』というのは、誰もが一度は考えることですよね。

結論から言うと、何点なら合格という基準は公表されていません。そのかわり、公式の「合格者決定方法」で決め方の考え方が書かれています。

素点ではなく「標準点」で比べる

標準点は、偏差値と同じような考え方の点数です。

例えば基礎能力試験と専門試験では、その年の問題の難しさや受験者の点数の散らばりが違います。標準点にすると、種目ごとの差をならして比べられるんです。

配点比率はウェイトとして掛けられる

配点比率は、ウェイトとして標準点に掛けられます。ウェイトは基礎能力試験1.25、専門試験1.25、論文試験0.5、人物試験2です。

種目配点比率ウェイト
基礎能力試験5/201.25
専門試験5/201.25
論文試験2/200.5
人物試験8/202

ウェイトを見ると、人物試験は基礎能力試験の1.6倍の重みがあります。

下限の得点を下回ると、ほかが良くても不合格

人物試験以外の種目には、下限の得点が決められています。満点の20〜50%を基本に、種目ごとに定められる仕組みです。

1つでも下回ると、ほかの種目の点数が良くても不合格になります。基礎能力試験と専門試験は、満点30題に対して下限の得点が定められています。

よくある失敗

得意な専門試験で点を稼げばいいと考えて、基礎能力試験の対策をほとんどしないことです。下限の得点を下回ると、専門試験が満点に近くても合格できません。

例えばこんな2つのケース

仕組みだけだとイメージしにくいので、2つのケースで考えてみます。

ケース起こりやすいこと考え方
専門試験は得意、基礎能力試験が苦手基礎能力試験で下限の得点を下回るおそれがある苦手な種目は下限を超えることを目標にする
筆記はそこそこ、面接に自信がない人物試験のウェイト2が重くのしかかる筆記と並行して面接の練習を早めに始める

どちらのケースでも、1つの種目だけで勝負しないことが大事なんです。4つの種目のバランスを意識して準備しておきましょう。

合格者は、希望勤務地の高等裁判所ごとに決まります。最終合格者は、試験の種類ごと・高裁の管轄区域ごとの採用候補者名簿に、高い点数の順で載ります。

名簿の順位と採用の関係は裁判所事務官の席次とはで詳しく書いています。

総合職・高卒者区分の試験内容はどう違う?

先に結論

総合職(大卒程度区分)は記述式の専門試験と政策論文、第3次試験まであります。一般職(高卒者区分)は専門試験がなく、基礎能力試験と作文試験、人物試験です。

「裁判所事務官の一般職試験」以外の区分も、違いだけ押さえておきましょう。

区分第1次試験第2次試験第3次試験
一般職(大卒程度)基礎能力・専門(多肢選択式)論文(第1次の日)・人物なし
総合職(大卒程度)基礎能力・専門(多肢選択式)専門(記述式)・政策論文・人物集団討論・個別面接
一般職(高卒者)基礎能力・作文人物なし

総合職(大卒程度区分)の第2次の専門試験(記述式)は、憲法1題を1時間、民法1題と刑法1題を2時間で書きます。院卒者区分では、これに民事訴訟法か刑事訴訟法の1題が加わります。

一般職(高卒者区分)の基礎能力試験は、知能分野24題・知識分野21題で、時間は1時間40分です。作文試験は50分で、配点比率は基礎能力試験9/20、作文試験3/20、人物試験8/20です。

『総合職も気になるけど、一般職もあきらめたくない』という方は、総合職の特例制度が使えます。総合職の試験を有効に受ければ、一般職(大卒程度区分)の受験者としても合否判定を受けられる制度です。

配点比率から逆算する「時間をかける順番」

先に結論

勉強時間は「配点の大きさ」と「下限の得点の怖さ」の両方で決めるのがおすすめです。一般職(大卒程度区分)なら、専門試験と基礎能力試験で下限を超える力を作り、そのうえで人物試験に早めに手をつける順番が組みやすいです。

配点比率が分かると、『じゃあ何から勉強すればいいの?』が気になりますよね。

ここでは、配点・試験の時期・準備にかかる手間の3つから、時間をかける順番を考えてみます。

種目配点比率試験の時期(令和8年度)準備の手間時間をかける順番
専門試験5/205月9日法律の初学なら大きい1番目(早くから)
基礎能力試験5/205月9日知能分野は慣れが要る2番目(毎日少しずつ)
人物試験8/206月8日から自己分析と練習が要る3番目(筆記と並行して準備)
論文試験2/205月9日型を覚えれば短く済む4番目(直前期に集中)

『配点が一番大きい人物試験を最初にやるべきでは?』と思った方もいるかもしれません。

ただ、人物試験は第1次試験に合格しないと受けられません。だから筆記で下限を超える力を先に作り、人物試験は筆記と並行して少しずつ準備するのが現実的です。

時間をかける順番の進め方
  1. 憲法・民法の基本を、教科書を一通り読むところから始める
  2. 基礎能力試験の知能分野の問題を、毎日少しずつ解いて慣れる
  3. 選択科目を行政法・刑法・経済理論から仮に決めておく
  4. 志望動機と自分の経験を書き出し、面接で話す材料を作る
  5. 直前期に論文の型を練習し、時間内に1題書き切る
配点比率と試験の時期から考えた、種目ごとに時間をかける順番の図解

例えば、大学3年生で法学部ではない人なら、専門試験の憲法・民法に一番早く手をつけたいところです。法学部の人なら、基礎能力試験の知能分野に回す時間を増やす、という考え方もできます。

独学でいくか、講座を使うか

『全部を自分で計画するのは不安』という方は、講座を使うのも1つの方法です。

特に、次のような場面では外の力を借りると楽になります。

  • 憲法・民法などの法律科目を初めて学ぶ時
  • 論文試験の答案を誰かに添削してほしい時
  • 配点の大きい人物試験に向けて、面接の練習をしたい時
  • 勉強の予定を自分で管理するのが苦手な時

公務員講座では、こうした場面のサポートを用意しているところが多いです。独学で進めるか迷う方は、裁判所事務官は独学で受かる?もあわせて読んでみてください。

裁判所事務官ガイド

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法律科目をゼロから学ぶ、論文を添削してもらう、面接の練習をする。独学で不安な部分だけでも講座を使うと準備が進めやすくなります。まずは資料請求で、コースの内容と受講スタイルを確かめてみましょう。

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講座の内容・料金は公式サイトで最新情報を確認してください。

裁判所事務官の試験内容でよくある相談

受験生からよく寄せられる相談を、公式の情報で答えられる範囲で紹介します。

相談1 東京高裁の管轄区域で、1次試験のボーダーは何点くらい?

『一次のボーダーを知りたい』という相談は、とても多いです。

結論から言うと、何点で合格というボーダーは公式には公表されていません。筆記は標準点で比べられ、合格者は高裁の管轄区域ごとに決まるので、年や地域で変わります。

『ボーダーが分かれば、面接の準備をするか決められるのに』という気持ちはよく分かります。

参考になるのは、地域ごとの倍率です。令和8年度の一般職(大卒程度)では、東京高裁の管轄区域で申込者4,011人に対し最終合格者942人、倍率は3.4でした。倍率は、第1次試験の有効受験者数÷最終合格者数で計算しています。

ただ、倍率は最終合格までの数字で、第1次試験の合格ラインを表すものではありません。自己採点の結果にかかわらず、合格発表までは人物試験の準備を進めておくのがおすすめです。

相談2 教養(基礎能力試験)で大きく失敗した。専門は取れたけど望みはある?

『専門はできたのに、教養が13点しか取れなかった』という相談もあります。

公式では、人物試験以外の種目に下限の得点があり、1つでも下回ると不合格とされています。基礎能力試験の下限が何点かは、このサイトでは書きません。

ただ、下限は満点の20〜50%を基本に種目ごとに決められています。結果が出るまでは、人物試験の準備を止めないでおくのがいいですよ。

相談3 論文試験まで2週間。何から手をつければいい?

『論文の対策がほとんどできていない』という焦りの声もよく見かけます。

論文試験は1題を1時間で書く試験で、配点比率は2/20です。ここから全部を固めるより、1時間で書き切る練習を数回するのが現実的です。

例えば、テーマを1つ決めて「結論、理由、具体例、まとめ」の順で書いてみてください。書き終えたら時間を計って、どこで手が止まったかを見ておきましょう。

相談4 一般職の専門試験にミクロ経済やマクロ経済は入っている?

『経済が苦手なのに、出題されるのか知りたい』という相談です。

一般職(大卒程度区分)の専門試験では、経済理論は選択科目の1つです。行政法か刑法を選べば、経済理論の問題を解く必要はありません。

経済理論のどの分野から何題出るかは、受験案内には細かく書かれていません。経済理論を選ぶつもりなら、問題集で出題のされ方を確かめておきましょう。

よくある質問

裁判所事務官の専門試験の選択科目は、いつ決めればいいですか?

行政法・刑法・経済理論のどれを解くかは、試験当日に問題を見てから選べます。ただ、準備の段階では1科目に絞っておく方が勉強の時間をムダにしにくいです。

裁判所事務官の一般職試験に記述式の試験はありますか?

令和7年度から、一般職(大卒程度区分)の専門試験は憲法の記述式がなくなり、すべて多肢選択式になりました。記述式で書くのは論文試験(小論文)の1題です。総合職には記述式の専門試験があります。

試験に六法を持ち込めますか?

六法の持ち込みは全試験でできません。総合職の第2次試験の専門試験(記述式)だけは、会場で貸し出される六法を使えます。

高卒者区分にも専門試験はありますか?

令和8年度の一般職(高卒者区分)には専門試験はありません。第1次試験は基礎能力試験と作文試験、第2次試験は人物試験(個別面接)です。

人物試験では法律の知識を聞かれますか?

公式のQ&Aでは、人物試験は専門知識を問うものではないと説明されています。人柄・資質・能力を見る個別面接です。

まとめ

この記事の要点
  • 一般職(大卒程度区分)の試験内容は基礎能力・専門・論文・人物の4種目
  • 専門試験は憲法10題・民法10題が必須、選択は行政法・刑法・経済理論から1科目
  • 論文試験は第1次試験の日に実施され、筆記は1日で終わる
  • 筆記は標準点で比べられ、下限の得点を1つでも下回ると不合格
  • 人物試験の配点比率は8/20で一番大きい
裁判所事務官ガイド

裁判所事務官ガイド 編集部

裁判所事務官の仕事内容・なり方・採用試験の日程や科目・倍率、書記官へのキャリア、勉強法と講座の選び方を、裁判所の公開情報をもとに整理している情報サイトです。 公式サイト

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